出版社内容情報
子どものいないおじいさんとおばあさんの所に,ある日9人も赤んぼうが生まれました.このきょうだいが成長したとき,王さまが大難題をふっかけてきました.中国の少数民族のお話の傑作絵本.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
309
原話は中国の民話。君島久子 訳、赤羽末吉の絵。お話は王さまの無理無体な要求に、それぞれに特殊な能力を持った9人兄弟が次々に対応し、最後は王さまを追放しみんなで仲良く暮らすというもの。荒唐無稽なお話だが、大陸的なおおらかさとして楽しめる。絵は、赤羽末吉にしては、これまでに読んだものとはずいぶんタッチが違う。線が丸く、絵自体もふっくらとしているのである。別人かと思うほどだ。お話のおおらかさを活かすべくこうした絵になったのだろうか。もちろん、これはこれで作品にはふさわしいのだが。2024/11/19
れみ
144
中国の民話。ちからもち、くいしんぼう、はらいっぱい、ぶってくれ、ながすね、さむがりや、あつがりや、切ってくれ、みずくぐり、と名づけられた9人兄弟が、王様の策略と戦う(?)お話。よくもまあ、こう適材適所な人がいたなあ^^;王様はここまでの疑いと恐れを抱かなければ権力の座に就き続けられたんじゃないかと思うけど…権力への欲は身を滅ぼすという教訓が含まれたお話なのかも。2017/03/03
のっち♬
94
仙人の秘薬によって老夫婦の元に生まれた九人のきょうだい。超常的な能力に恐れをなした王さまは、捕らえて処刑しようと目論むが…。ルックスが同じなので王さまは一人だと思い込んでいる、しかも処刑内容が九人に筒抜けなので簡単にすり替えが効くという完全にストーリーありきな能力設定である。その極端さはいかにも中国の古典で、スケールが大きいというか節度というものが存在しない。そこが痛快さに昇華されている点が日本でも人気を博している所以だろう。力強くてコミカルな赤羽の作画は突き抜けたこの世界観で土着感をしっかり出せている。2024/10/08
♪みどりpiyopiyo♪
73
それは、いつのころか、てんで、けんとうもつかないほどの おおむかし。イ族のある村に、としよりの ふうふが、すんでいました… ■これまた愉快なお話を読みました♪ 『シナの五にんきょうだい』と似てるけど、こちらは昔話です。■昔話らしいほっこり楽しい絵は赤羽末吉さん。昔話の王道ディテールを沢山散りばめた物語。■中国の昔話には無慈悲な支配者がよく出てくる気がしていましたが、異民族支配の歴史があるからなのですね。幾つもの民族に「○人兄弟」の昔話があるとか。重圧を跳ね除け笑い飛ばす逞しさを感じます。(1969年)2019/06/07
眠る山猫屋
64
中国イ族に伝わる民話から。マロニエ王国の七人の騎士に似ているよ、と耳にして読んでみました。もちろん差違はある。まずもって9人兄弟だし(苦笑)試練が過酷だし。悪い王さまが課してくる試練はヘラクレスのよう。9人がそれぞれの特技を活かして切り抜けるのはマロニエに近いが、9人は皆そっくりで、王さまは1人を相手にしていると思い込んでいる辺り、面白いな。2023/01/31
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