出版社内容情報
直接に知る人々が書き記した、友として、文豪として、夫として、父としての夏目漱石。今回四編を増補。
内容説明
正岡子規、寺田寅彦、小宮豊隆、岡本一平、津田青楓、鈴木三重吉、中勘助、芥川龍之介、野上弥生子、泉鏡花、そして妻、子どもたち、直接に知る人びとが語るそれぞれの漱石。
目次
『墨汁一滴』より(正岡子規)
漱石と子規(赤木格堂)
漱石と自分(狩野亨吉)
予備門時代の漱石(太田達人)
意地張で親切 坊主になる勧告(中村是公)
夏目君と僕と僕の家(斎藤阿具)
漱石の思ひ出(松本文三郎)
学生時代の夏目君(大塚保治)
夏目君の書簡(菅虎雄)
熊本時代の漱石と米山天然居士(長谷川貞一郎)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ココマ
12
漱石の周りにいた人達による思い出玉手箱の様な本。聞き書きもあるが皆個性的な文ばかりで面白い。幾人かが漱石に帰るのを引き留められた事を述べている。本書を読むと出生からの複雑さを周囲に言えぬ深い孤立感ゆえの振舞が理解されず殊に養父等は悪口の種にした感を受けた。 優しさと至らなさ、どれも漱石なのだろう。読者の私としては明治の建物の中で皆の話を楽しく聞いている気分を贈られた心持ちだ。自ら禿と開き直る夫人、淡い恋情的女性、とんだとばっちりな土井晩翠、昨日書いた様な寺田寅彦、百閒の描写。明治はそんなに遠くないようだ 2019/11/12
OHNO Hiroshi
5
他人から見た漱石。いろんな面がある。家庭内暴力は確かにあったが、優しさある。引用p288 富沢珪堂「風呂吹きや頭の丸き影二つ"「自分は君たちより年をとっているが、それでも、或る時は性の衝動がるが、若い君たちはそんなとき、どうするの」といわれた。"漱石が愛おしくなる。2018/05/19