出版社内容情報
病床の子規に向けて英国留学の日々を綴った『倫敦消息』、美しく幻想的な『夢十夜』、人生観を絡めつつ社会や日常を描いた晩年の作『硝子戸の中』。ほか、『永日小品』『文鳥』『満韓ところどころ』など短編全二十二篇を所収。
内容説明
愉快なサイクリスト漱石、美しくも怪しい幻想譚、ふとした日常に垣間見える深淵―初期から晩年までの短篇全二十二篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
27
漱石と言えば、どうしても長編の作家という印象が強い。けれど、全集12巻に収録された22編の小品を読んでいると、そこにも漱石を感じ取ることができる。あたりまえのことなのだろうが。「文鳥」や「夢十夜」といった小説は、再読ということもあり、発見は少なかったものの、多くの随筆に関しては、とても興味深く、何よりもおもしろく読むことができた。イギリス留学中に正岡子規に送った手紙を元にした「倫敦消息」には、こんな記述がある。「先づ往来に出て見ると、会ふものもみんな脊が高くて立派な顔ばかりしてゐる。(つづく)2017/12/27