出版社内容情報
病床の子規に向けて英国留学の日々を綴った『倫敦消息』、美しく幻想的な『夢十夜』、人生観を絡めつつ社会や日常を描いた晩年の作『硝子戸の中』。ほか、『永日小品』『文鳥』『満韓ところどころ』など短編全二十二篇を所収。
内容説明
愉快なサイクリスト漱石、美しくも怪しい幻想譚、ふとした日常に垣間見える深淵―初期から晩年までの短篇全二十二篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
27
漱石と言えば、どうしても長編の作家という印象が強い。けれど、全集12巻に収録された22編の小品を読んでいると、そこにも漱石を感じ取ることができる。あたりまえのことなのだろうが。「文鳥」や「夢十夜」といった小説は、再読ということもあり、発見は少なかったものの、多くの随筆に関しては、とても興味深く、何よりもおもしろく読むことができた。イギリス留学中に正岡子規に送った手紙を元にした「倫敦消息」には、こんな記述がある。「先づ往来に出て見ると、会ふものもみんな脊が高くて立派な顔ばかりしてゐる。(つづく)2017/12/27
読書家さん#2EIzez
2
長谷川くんと余 朝日新聞で同僚と会う前に、普段はしない会う前の人のイメージをした漱石の実際にみたギャップの表現がよい。 2025/01/01
読書家さん#2EIzez
2
文鳥 文鳥を飼って籠の道具を揃え、格子戸の情景が浮かぶ。 手紙 漱石が世話している青年の手紙を盗み見してしまい それについて金の仕送りを命じる。 悪いことはバレる。 格子戸の内 読むたび思うのが、どうして漱石はこれだけよいのかという事を言いたくなる。それは漱石だからとしか言えなくなってしまう。2024/12/31
読書家さん#2EIzez
2
1 .ロンドン消息 「イギリス留学中の手紙から」 日本の社会の有り様が目に浮かんで頼もしくなく、情けない様な心もちになる。いまの日本のことを言ってもらった気分。 日本紳士の徳育体育美徳の点において非常に欠乏して居るのが気にかかる。ニヤニヤしてしまう。 2 .自転車日記🚲 イギリスで初めて何度も落伍しながら練習するのを物語で読めて親近感が沸く。練習姿をみてるようだ。 3.京に着ける夕 赤いぜんざいの大提灯を見て何故かこれが京都だなと 感じたぎり第一印象で最後の印象。こういうのが漱石らしくってナイス 2024/12/31