内容説明
痛烈な権力批判、奇想天外なユーモア、あふれる情感―古代ギリシアの笑い声が聞こえてくる。シェイクスピア、モリエールらの遙かな先蹤をなす最古の喜劇世界が、最新の研究成果に基づき甦る。
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- 評価
黒井ヴィンセント本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
249
感想は『騎士』のみ。そもそも喜劇というものは、極めて相対的なものなのだろう。一方の悲劇は、そのすべてがではないものの、絶対の領域に半ばは身を処しているが、こと喜劇は全て相対化においてしか成立しないように思われる。したがって、それが演じられた時の社会の状況との関係に於いてしか了解し得ない事柄が多いのである。さて『騎士』だが、本篇はピュロスの攻防戦がその背景にあった。すなわち、主戦論を唱えたクレオーンが自ら軍団を率いて凱旋。大いに勝利の栄光をその手に収め、彼の全盛期がここに招来したのである。そして、⇒2025/08/15
ヴェネツィア
243
『雲』のみ。初演は紀元前423年春、ディオ二シューシア祭で。作中にソクラテスが重要な役どころで登場するが、この年にはまだ存命中で45歳くらいだったはず。喜劇は、これほどにライブなものだったのである。タイトルにも冠されている「雲」は、ここでは女神たちが姿を変えたものとして讃えられている。それはいいのだが、ソクラテスのゼウスの扱いは惨憺たるもので、これでは観衆たちの反感を買いかねないだろう。そもそも、アリストパネスの目的もそこにあったやも知れないのである。だとすれば、ソクラテスの死罪にも加担していたことに⇒2025/08/18
ヴェネツィア
232
『アカルナイの人々』のみ。本篇は、アリストパネスの喜劇の中では、完全な形で残る最古のものであるようだ。初演は紀元前426年とされている。その頃のアテネはスパルタとのペロポネソス戦争の6年目という、苦しい状況にあった。タイトルの「アルカナイ」は、対スパルタ戦に最も強硬な態度でのぞむデーモス(一種のコミュニティ)の名前である。現代の私たちがこの劇を見る(もしくは読む)場合は、当時の社会情勢や文化的な状況を、ある程度は押さえておかないと、何のことなのかわからないだろう。先のスパルタとの関係ばかりか、ペルシャ⇒2025/08/10
てれまこし
11
アリストパネスが活躍したのはペロポネソス戦争の最中で、その諷刺は民衆の戦争熱を煽る民衆指導者に向けられた。しかも諷刺される当人の前で堂々と演じられる。ペリクレスの演説のように平時は自由だが緊急時は私事を捨てて国家に馳せ参じるアテネ人という共和主義に、リベラル的な反戦論をぶつけてる。価値が相対化されて、弁舌の才次第でよって悪が善とされてしまうような、ちょうど現代のような状況だったらしい。民主制批判という点ではプラトンの政治哲学と同じだが、ソクラテスなどの哲学者もソフィストと区別されずに諷刺の対象になってる。2024/06/28
Βουλγαροκτόνος
1
2400年以上経った現代でも面白く読める、まさに名作。『アカルナイの人々』は現存する最後の喜劇としても有名(アリストパネスは未成年のうちに書いたのだから、真の天才!)。多少ギリシア語の知識があれば、「しゃれ」的な部分が分かってさらに面白い。喜劇は楽しませるためだけのものではなく、聴衆に社会の実態を訴えかける重要なツールであることに気付かされる。下ネタ(特に男色)は多いけど…。2022/07/18
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