出版社内容情報
意志は単なる可能性ではなく,思惟する知性としての,真に普遍的な意志である.「法」の自由の理念のためには,人倫的な社会諸制度は意志の自由の定在として存在しなければならない.待望久しい新訳で,論争の書をここにおくる.
内容説明
本書はヘーゲルの『法の哲学』の第三部「人倫」の翻訳である。
目次
第3部 人倫(家族;市民社会;国家)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
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過去から伝えられた伝統に固執する反動思想。そんなものは破棄してゼロから政治秩序を建設しようという進歩思想。この間を行こうというのがヘーゲル政治哲学。フランス革命を否定しながらも反動を退け、現状を肯定しながらも漸進的な改革の余地を確保するのはなかなかの綱渡りであるが、理念というのは頭の中の理想にとどまらず現実の世界の発展に既に反映されているという力業で押してくる。この形而上学をどう受け止めるか微妙であるが、彼の近代国家観は確かに時代を見通したところが多く、今日の所謂リベラル保守の思想的根拠を提供したりする。2018/01/02