出版社内容情報
医を本業とした葛子琴は,上方詩壇の中心的存在であった混沌社に参加し,詩才随一と称された.京都の儒者の家に生れた中島棕隠は,才子・粋人として知られ,祗園を詠んだ連作風俗詩『鴨東四時雑詠』で詩名を喧伝された.
内容説明
近世文芸のエクリチュール。蘇る江戸漢詩。江戸の代表的詩人の詩を紹介する初の選集。国文学・中国文学の研究者が協同し、読み下し・語注・口語訳を付す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
きさらぎ
4
「葛子琴は天賦の詩才と精励の学識を兼ね備えた天成の詩人」と解説にある。幼少時に孤児となった子琴だが、遊学中の頼春水をはじめ、その詩才とさらりと流れるような人柄を多くの人に愛された。彼が参加した混沌詩社を「蘐園系」で括ってしまうのはどうだろうという気はするが、確かに典拠が多すぎて、蘐園の代表格南郭と同様、私などにはついていきづらいと感じたのも事実。やや時代が下る棕隠の詩は比較的平易で馴染みやすい。西園寺公望が彼の晩年の印象を随筆に残している程度には幕末の人で、江戸漢詩世界自体の変化もあったのかもしれない。2016/03/29




