出版社内容情報
黒澤明は日本が誇る映画芸術家である.その強靭なヒューマニズムに貫かれたシナリオには,人々の熱血をたぎらせた映画創造の秘密がひそんでいる.ここに全監督作品のシナリオと数々の傑作シナリオを集め,黒澤映画の核心を探究する.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こうすけ
20
『生きる』の構成の凄まじさ。ファーストカットのレントゲン写真、中盤でひっくり返る時系列。さすがに名作。カズオ・イシグロ脚本でリメイクするそう。シナリオながら、『白痴』の完全版が読めるのも嬉しい。不本意にカットされまくったという実際の映画では、ナレーションテロップの連打でワケわかんなかったけど、シナリオだと丁寧な人物描写でぐいぐい読める。失敗作と言われながら、これがあったから直後の『生きる』『七人の侍』が生まれたのだろうと思う。『殺陣師段平』も昔大学の授業で見たなぁ。それなりに面白かった。2021/04/04
イシザル
1
「白痴」は、5時間に及ぶ作品だったのを会社の意向で、2時間に編集。 まだ長いからっと会社が編集を迫った所。「これ以上きるなら 縦にきれ」っと黒澤監督激怒。で中身はスカスカ当然の結果。しかし脚本は、撮影前に完成してあるだろうから、幻の完全版。ロシアを札幌にし、風俗は、当時の日本に設定を変更、あくまでも世界観は こわさずに洗練された会話劇に仕上げる構成力。 完璧なダイジェスト版白痴。これを 世に出そうとしなかった映画会社のセンスのなさにびっくり、あっ今も昔もセンスがない。2017/05/29