出版社内容情報
N・ウィーナーから始まったサイバネティックスは、認知科学、政治学、哲学などを巻き込んで世代を超え展開し、「情報」という視点から世界を書き換えていった。生成AIに至るコンピュータの進化を用意するとともに、生命とは何かという問いに答えようとした巨大な思想運動――その全容をあますところなく描き出す。
【目次】
0 序 章
0-1 なぜサイバネティックスなのか?
0-2 三つの誤解
0-3 サイバネティックス運動
0-4 〈情報的世界観〉の諸相
0-5 本書の結構
Ⅰ 情報と意味
Ⅰ-0 はじめに
Ⅰ-1 〈情報的世界観〉の源流
Ⅰ-1-1 「ウィーナーのサイバネティックス」の構造
Ⅰ-1-2 ウィーナーvs.シャノン
Ⅰ-1-3 シャノン「通信図式」の解読
Ⅰ-1-4 情報源と根源的ノイズ
Ⅰ-2 情報理論の「意味」への拡張の企図とその閉塞路
Ⅰ-2-1 「情報」の優位と「意味」の恢復
Ⅰ-2-2 「情報」にとって「意味」とは何か?──マッケイ
Ⅰ-2-2-1 「一般情報理論」の構図
Ⅰ-2-2-2 「情報」の三種──構造的情報内容・計量的情報量・選択的情報量
Ⅰ-2-2-3 「情報」と「意味」の心理化とその帰趨
Ⅰ-2-3 「情報/意味」問題における〈差異〉と〈同一性〉の鬩ぎ合い──ヤーコブソン
Ⅰ-2-3-1 ヤーコブソンとサイバネティックス
Ⅰ-2-3-2 機能的分化システムとしての言語
Ⅰ-2-3-3 〈同一性〉から〈差異〉へ
Ⅰ-2-3-4 〈伝達〉と〈意味〉
Ⅰ-3 ベイトソンによる「情報」概念の更新
Ⅰ-3-1 ベイトソンの報告「人間のコミュニケーションにおけるユーモアの位置」
Ⅰ-3-2 意味とコミュニケーション
Ⅰ-3-3 パターン・意味・情報
Ⅰ-3-4 「情報」における〈ノイズ〉の二重性
Ⅰ-3-5 「差異を生む差異」
Ⅰ-3-6 主体としての「システム」
Ⅱ 機械と生命
Ⅱ-0 はじめに
Ⅱ-1 ウィーナーと初期サイバネティックスにおける「生命」の内実と位置
Ⅱ-1-1 「中枢性抑制会議」と論文『行動・目的・目的論』
Ⅱ-1-2 揺籃期サイバネティックスの「生命」理解
Ⅱ-1-3 前期メイシー会議と「循環因果性」
Ⅱ-1-4 著書『サイバネティックス』と『人間の人間的使用』における「生命」理解
Ⅱ-2 「生命」論の展開過程
Ⅱ-2-1 唯心論vs.唯物論・機械論vs.生気論──十七~十八世紀の「生命」理解
Ⅱ-2-2 二十世紀前半における生命論の布置
Ⅱ-3 生命論の〈情報〉的転回
Ⅱ-3-1 生命の自己組織化
Ⅱ-3-1-1 〈目的〉の内在化と〈システム〉の成立
Ⅱ-3-1-2 自己言及から自己組織化へ
Ⅱ-3-2 生命の複製と〈質料〉性
Ⅱ-3-2-1 〈信頼性〉という問題
Ⅱ-3-2-2 ノイマンの“生気論”──〈複雑性〉の問題系
Ⅱ-3-2-3 「生命



