出版社内容情報
「守破離」という言葉は知られている。型を守り、破り、離れる。しかしその内側は謎である。無数の仕掛けを秘めている。初心から成就に至り、また初心に戻る。師匠と弟子の関係も変化する。逆転を促す教えである。武道や芸道に限らない。「自己」を磨き、「学び」を問い直すための、仕掛けに満ちた知恵である。
【目次】
序 章 格に入り、格を出でて、はじめて自在を得べし
第一章 守破離の構図――型を守り・型を破り・型を離れる
1 守破離の見取り図――似する・似せぬ・似得る
2 「守」――急いで通り過ぎない
3 「破」――折れ曲がる
4 「離」――もとに戻る/自在になる
第二章 守破離と「型」――模倣・創造・名人芸
1 模倣と反復――型の中に自分を叩き込む
2 創造のための土台――「型」は、型を超えるための通路である
3 型の多層性――歌舞伎における深い模倣
第三章 守破離と「無心」――無心に向かう/無心から生じる
1 何かが消えると、何かが生じる
2 結果が生じてこなくても――「良い結果を出せ」と「成果は関係ない」
3 無心を「不生」から読む――盤珪禅師の「不生」
4 世阿弥の「無心の舞」――「舞を舞い、舞に舞われて」
第四章 守破離と「離見の見」――世阿弥『伝書』を読み直す
1 自分を、外から/内から、見る――「目前心後」と「二重の見」
2 他者の目を保ちつつ、自分の目に戻る――「我見vs.離見」と「離見の見」
3 当たり前が神秘である――「離見の見」と「複式夢幻能」
第五章 守破離と「勘」――黒田亮『勘の研究』を読み直す
1 勘と運――偶然に対して謙虚である
2 「覚」の体験――「全体なるもの」が顕れる
3 勘の生じる地平――心をどこにも置かない
補論1 心の修行・気の修行――『田舎荘子』に魅せられて
第六章 守破離と「稽古」――オイゲン・ヘリゲル『弓と禅』を読み直す
1 師と弟子――弟子の内的な仕事
2 師に対する内的抵抗――戸惑い・疑念・行き詰まり
3 精神的な目覚め――無心・目覚め・精神現在
4 身体の使い方――的を狙う努力・的を狙わない教え
5 「それ」が射る――誰が射るのか
補論2 重心を肚に置く――デュルクハイム『肚』
第七章 思想史の中の守破離――序破急・真行草・守破離
1 序破急という三文字――連語「序・破・急」と熟語「序破急」
2 真行草の展開――「草」を高く評価する
3 守破離の発生現場――茶の湯の語りの中から
終 章 問いとしての守破離――その先/その内
1 守破離の謎――問題の所在を示す知恵
2 成就・自在・顕現――これをもって「妙」となす
図版出典一覧
あとがき
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- 電子書籍
- ジュニア版 クレヨンしんちゃん 18 …



