出版社内容情報
幕末から明治の初め、西洋文明を形づくる基礎的な概念が日本に入り、さまざまな試みの末に「自由」「権利」「法」「自然」「公/私」「社会」といった翻訳語が普及した。これらは、果たして原語と同じ意味だろうか。日本政治思想史の研究者が、西欧における原義を探り、翻訳語の意味との相違を明らかにする連続講義。
【目次】
開講にあたって
表記について
第1講 「お金に不自由しています」FREEDOM・LIBERTY
1.「自由便当」とFreedom
(1)コンビニ
(2)奴隷でないこと
2.翻訳の試み
(1)困難
(2)試みの例
3.「自由」
(1)普及
(2)「自由民権」
(3)疑い
第2講 「武士の一分でござる」RIGHT
1.「利権」と「正しいこと」
(1)「権利」とは
(2)Rightとは
(3)「権」である「利」
2.翻訳の試み
3.「株」と「分」
第3講 「正義省」はどこに LAW
1.Law/right/justice
2.Law/Gesetz/loi
3.「法」と「理」
(1)清朝中国において
(2)徳川日本において
(3)維新前後
第4講 「この村は、本性がいっぱいです」NATURE
1.Nature/nature/Natur
(1)本性
(2)被造物
2.「自然」
(1)Spontaneous
(2)ズレ
3.「天」と「性」
(1)「天」と「天然」
(2)「性」
第5講 「それは公用ですか」PUBLIC/PRIVATE
1.「公用」
(1)混乱
(2)共通
2.Public/private
3.公/私
(1)共にする/しない
(2)重なる波紋
4.おほやけ/わたくし
(1)「公方」「公儀」「公界」
(2)入れ子
5.「公私混同」
第6講 「キミも、いよいよ社会人だね」SOCIETY
1.「社会国家」と「社会人」
(1)social/sozial
(2)交際
(3)世間
(4)「社会」
2.「仲間」「組」「連中」「社中」
3.「社」「会」「会社」
注
講義を終えて
人名索引/史料索引