出版社内容情報
檜垣 立哉[ヒガキ タツヤ]
著・文・その他
内容説明
「歪んだ真珠」を意味するポルトガル語“barocco”に由来する「バロック」は、ある種の均整からの逸脱、様式を意図的にずらすことを意味する言葉として、美術史を超えて広く共有されてきた。本書は、カント主義の後継者である現象学、論理的合理性を最重視する分析哲学という二〇世紀の二大潮流によって押しつぶされた思想の系譜を「バロック」の名のもとに繋げ、哲学の新たな星座を描きだす試みである。
目次
第1部 ヨーロッパ・バロック(坂部恵とモデルニテ・バロック;ジル・ドゥルーズにおけるバロック;ベンヤミン アレゴリー論の拡がり;ホワイトヘッド 数理の彼方のバロック;オルテガ スペインバロックの光芒;補論 記憶の実在―ベルクソンとベンヤミン)
第2部 世界に拡がるバロック(ジェイムズの「モザイク」哲学―アメリカ哲学のバロック(1)
パースという多面体―アメリカ哲学のバロック(2)
西田幾多郎のバロック―自覚論をめぐって
九鬼周造の文学論―時間と韻
レヴィ=ストロース―『神話論理』のバロック)
著者等紹介
檜垣立哉[ヒガキタツヤ]
1964年埼玉県に生まれる。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。大阪大学にて博士号取得。埼玉大学助教授などを経て、大阪大学大学院人間科学研究科教授。専攻は哲学、現代思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
呼戯人
20
ジル・ドゥルーズの哲学を導きの糸としながら、哲学の主流派からはずれる「歪んだ真珠」状の反理性の星座たちを描き出す。そこで扱われるのは、偶然にも私がずっと追い求めてきた哲学者たち。例えば、ジル・ドゥルーズ、ワルター・ベンヤミン、アンリ・ベルクソン、ホワイトヘッド、そしてスペインのオルテガ・・。これらの哲学者は皆生の哲学というくくりで理解できる哲学者たちである。それらの哲学者に共通する特徴としてバロックという特性を取り出し、描き出す。私にとっては、衝撃を受けた内容だった。2022/07/24