出版社内容情報
東京裁判の審理には、どのような特徴や問題点が存在し、戦後の世界や日本社会にいかなる「未決の課題」を遺すことになったのか。そして、日本政治・社会は、東京裁判をどのように認識し、また忘却してきたのか。膨大な裁判の記録を読み解きながら東京裁判の全体像をはじめて描き出し、戦後史の中に位置付ける画期的研究。
内容説明
東京裁判の審理には、どのような特徴や問題点が存在し、戦後の世界や日本社会にいかなる「未決の課題」を遺すことになったのか。そして、日本政治・社会は、東京裁判をどのように認識し、また忘却してきたのか。膨大な裁判の記録を読み解きながら東京裁判の全体像をはじめて描き出し、戦後史の中に位置付ける画期的研究。
目次
序章
第1章 東京裁判と軍部―陸海軍の比較から
第2章 東京裁判と外務省
第3章 東京裁判と大蔵省
第4章 東京裁判における天皇・天皇制論議
第5章 序列化された戦争被害―東京裁判の審理と「アジア」
第6章 裁きと戦犯の「戦後」―戦犯の戦争責任観・戦争観・戦後社会観
第7章 戦後史と東京裁判認識―一九四五~二〇二〇
終章
著者等紹介
宇田川幸大[ウダガワコウタ]
1985年神奈川県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学・一橋大学)。日本現代史専攻。現在、中央大学商学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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onepei
3
「戦後史と東京裁判認識」の章が興味深かった2022/06/19
Go Extreme
1
極東国際軍事裁判 A・B・C級戦犯 国際法 戦争指導者 平和・人道に対する罪 占領政策 GHQ ニュルンベルク裁判 ジュネーヴ条約 ハーグ条約 陸軍と海軍の戦争責任 外務省の役割 大蔵省の関与 天皇制論議 木戸幸一の証言 天皇の戦争責任 アジアの戦争被害 南京大虐殺 フィリピン占領 戦犯の弁護戦略 自衛戦争論 戦争観の変遷 歴史認識問題 教科書問題 靖国神社参拝 歴史修正主義 占領期の東京裁判評価 戦犯の社会復帰 戦後日本の国際関係 冷戦と東京裁判 戦争責任の風化 若い世代の歴史認識 戦争の記憶と教育2025/02/13
たろーたん
1
現代における東京裁判の問題点については、まず第一に、内容を吟味することなく、東京裁判の記憶を忘却し、風化していることが指摘されている。第二は、裁判論議に対する日本政治・社会の主体性の欠如が挙げられる。1980年以降までほとんど言及されず、再開されたのも、中曾根康弘の靖国神社問題があったからだ。何かの政治問題に付随する形で、東京裁判が言及されているのである。日本自らが裁判の意義も、裁判で問われた問題も再検討せず、「東京裁判にすべてを任せ、自ら戦争責任追及を行わずに来た」ことが、日本社会に刻印されている(続)2024/10/04