出版社内容情報
真理と実在,真理と価値の関係を考察し現代真理論で最も影響のある対応理論,デフレ主義,多元主義を解説.
内容説明
入門からもう一歩進んで考える。「真である」とはどういうことなのか?実在や価値との関係を考察し、最新の真理論へと見通しよく案内する。
目次
1 真理とは何か
2 客観性
3 真理と価値
4 真理の認識説
5 真理の対応説
6 真理のデフレ理論
7 真理の多元主義理論
8 デフレ主義再訪
著者等紹介
レン,チェイス[レン,チェイス] [Wrenn,Chase]
ワシントン大学(セントルイス校)PhD.現在、アラバマ大学准教授。真理論、認識論、心の哲学、認知科学
野上志学[ノガミシガク]
1990年生。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程。日本学術振興会特別研究員(DC2)。哲学
一ノ瀬正樹[イチノセマサキ]
1957年生。東京大学大学院人文社会系研究科教授を経て、東京大学名誉教授、オックスフォード大学名誉フェロウ、武蔵野大学教授。哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あ
3
客観性と価値を主な観点として、相対主義を棄却しつつ真理論を実在論と反実在論に二分し、対応説と認識説、デフレ主義、多元論について解説。反実在論のスケッチが荒いので、他書でより精緻な議論を補うといいかも。著者はデフレ主義にコミットするが、訳者解説にあるように真理の2値原理を前提とした議論になっているので、多値論理や曖昧性の問題などは閑却している。また、真理論の評価基準としてタルスキのT文を重視するが、これ自体が実在論と親和的なので、もう少し説明が欲しいところ。個人的にはデフレ主義と因果対応説が気になる。2024/04/29
愛楊
2
数や自動車といった指示対象は存在しないことが因果説の難点として挙られているが、現在の機械論的解釈可能性における研究を鑑みれば個体や性質等は線形表象であるのであって、そもそもここで哲学は問題を履き違えている。また、未だに命題的信念という神経科学ではありえない概念に頼って議論にしているので試みが成功するはずがない。加えて、最終章でリンチへの反論として「意味は真理条件に先行する」と述べているが、ここでは真理条件的意味論を前提していないことを明記すべきではないだろうか。真理条件的意味論では意味=真理条件なので。2024/08/22
ニッポニテスは中州へ泳ぐ
2
☆=3.5/5 ごくまれに意味不明すぎる訳文が混ざるが、全体としてはそれほど引っかからずに読めた。 テーマとしては知識論(認識論)が扱う問題圏と重なる部分が多い。主に「何が述べられたことを真理にするのか」についてを扱っているが、真理の持つ価値的側面などにもページを割いており、包括的。 著者の真理論が取りこぼしている「語用」「曖昧論理」の観点を補う解説の仕事も素晴らしい。 『現実性の問題』を真理の哲学として読めば入不二基義はウルトラデフレ主義かもしれない(現実性にはたぶん論理機能すら必要ないから)。2020/12/03
田蛙澄
1
ダメットやデイヴィドソンやローティを読んでいて反実在論と実在論の真理についての問題の見取り図が欲しくて読んだけど、実在論と反実在論以外に引用解除論があるのは知ってたけど、デフレ主義という言う呼び方は知らなかったし、真理の多元主義について初めて接したのでとても有益だった。 ただ反実在論の説明がダメットの緻密な議論から見ると大雑把に扱われてるように見えるし、最後のデフレ主義の擁護も密かにインフレしてるのではという疑念があるけど、そのあたりはもっとちゃんとした論文を読まないと判断がつかなそう。いい本だった。2020/11/21
ami
1
論理学の予備知識なしで読める真理初心者向けの入門書。「真理」というトピックでどういう議論がなされているかが分かる。簡単ではないです。2019/12/07