出版社内容情報
絵本から童話、小説、そして広大な書物の海へ。本を読むことはどれだけ愉しいことか。著者の書評は常にいきいきとした好奇心と素直な驚きにあふれ、読者を書棚の前へと誘う。三十年間の書評を一冊に編む決定版。
内容説明
今も忘れられない幼少のあの日、バラバラだった一字一字が瞬時につながり、文章が「読めた」瞬間の感激―。絵本から童話、小説、そして広大な書物の海へ。本を読むことは、どれほど愉しいことか。著者の書評はいきいきとした好奇心と素直な驚きに溢れ、読者を書棚の前へといざなう。三十年間の書評を一冊に編む決定版。
目次
1 書評(一九八七~二〇〇七)(魯迅ノート;孔子;後宮小説 ほか)
2 中国の古典 中国の歴史(論語;弟子;老子 ほか)
3 書評(二〇〇八~二〇一八)(転生夢現;愛しの座敷わらし;出ふるさと記 ほか)
著者等紹介
井波律子[イナミリツコ]
1944年富山県生まれ。1966年京都大学文学部卒業。1972年同大学院博士課程修了。金沢大学教授、国際日本文化研究センター教授を経て、同名誉教授。専門は中国文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
108
井波さんの30年にわたる書評集です。3部に分かれていて1部と3部は年代別にジャンルを決めずに収められています。2部はご専門の中国の古典と歴史関連の書物についての書評集です。一人の人例えば立花さんやこの井波さんのような編年体での書評を読んでいるといかに井波さんの読まれる範囲の本が広いかということやかなり読みこんでおられていてそれが井波さんの人物形成などにかなりの影響を及ぼしてきたのだろうな、ということがよくわかります(私がいうのもおこがましいのですが)。再度読み見習おうと思っています。2020/11/04
まーくん
96
昨年亡くなられた中国文学の井波律子先生。享年76歳、まだ早い。膨大な著作を残されたが、この書評集もまた凄い。87年以来、およそ30年間の書評が集められている。自分がかつて読んだ『ワイルド・スワン』や最近手にした林語堂の『北京好日』を見つけ嬉しく、その評に深くうなずいた。そして面白かったのは幼少の頃、西陣千本界隈に住まれ、日本映画全盛の当時、近所には封切館が林立、ほとんど毎夜、家族の誰かについて映画館に通いつめ想像を絶するほど多くの日本映画を見たという話。川本三郎の『今ひとたびの戦後日本映画』を採り上げる。2021/01/28
まーくん
81
再読。前回、図書館より借りて読み切れず、一旦返却、再予約して読み継いだ。前回はⅠ.書評(1987-2007)。今回はⅡ.中国の古典・中国の歴史。この章もまた、論語から始まり老子、孫子や司馬遷など著者の膨大な読書歴を物語る書評群。どれも読みたくなるが、そんな能力も気力もなし。川勝義男著『魏晋南北朝』と宮崎市定著『隋の煬帝』面白そう。有名な李攀龍編『唐詩選』も読んでみたいが自信なし。井波先生は学部生の頃、生意気にも本書を軽んじて読まなかったが、大学院で老教授から「常識がない」と言われ一念発起、通読したそう。2021/03/29
まーくん
79
再々読…というか、図書館から借りては読み切れず、結局、Ⅰ.書評(1987-2007)、Ⅱ.中国の古典・中国の歴史、今回、Ⅲ.書評(2008-2018)と章毎に3回に分け読み継いだ。昨年、お亡くなりになった井波先生の膨大な読書と書物への深い愛情がうかがわれる書評集。Ⅲ章では専門の中国文学に限らず、ミステリーからフランソワーズ・サガン、更にはボブ・ディラン、ザ・ローリング・ストーンズまで幅広く取り上げている。本章で既読は渡辺京二『バテレンの世紀』ただ一冊のみ。もう一冊でも二冊でも読むことが出来ればいいなと。2021/05/28
やいっち
76
自宅でゆっくり楽しみつつ読んできた。読もうと思えば一気に読めてしまうのだが、関心を惹く本が多く、気になる本に出会うたび、スマホなどでお気に入り(これから読みたい本)に登録してしまう。主に中国だが、日本の古典でも読んでいない本が山のように。 丁寧な書評ぶりで、好感が持てる……のはいいのだが、読むほどに自分の無知や不勉強ぶりが思い知らされて、逆に憂鬱になったり。 登録した中から一冊でも読めたらいいな。2020/09/26