内容説明
この時、この列島上に、「たしかにあった日本語」の記録。「ことば」は日々変わりゆく。日本最大級の辞書を全巻読破しても満足せず、古書展の出品リストを熱心に見て本を集め、新聞を読んでも学生と話しても日本語のことがひたすら気になり―。どんどん「浅く、単純に、粗く」なってゆく日本語の使われ方を憂いつつも、「知らない日本語はまだいくらでもある」ことを喜び、今日も情熱と共に「日本語を生きる」。ことばを考えるヒントに充ちた、日本語学者の日本語日記。
目次
一月 読書始
二月 八〇〇万円の辞書
三月 「ソらまめ」複雑なり
四月 「変化」と「進化」
五月 擬人化される「AI」
六月 「カサガサ」と「ガサカサ」
七月 知らない日本語はいくらでもある
八月 オレンジの月に飛ぶ蝙蝠
九月 「やややや」
一〇月 雰囲気だけのことば
一一月 「さしすせそ」の謎
一二月 『訴訟提要』から紅白歌合戦へ
著者等紹介
今野真二[コンノシンジ]
1958年神奈川県生まれ。1986年早稲田大学大学院博士課程後期退学。現在、清泉女子大学教授。専攻は日本語学。主要著作―『仮名表記論攷』(清文堂出版、第30回金田一京助博士記念賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tom
17
日本語学者の1年間の日記。古い本をせっせと買い込んでいる。うらやましいと言えばうらやましい。本の購入にこれだけ出費できるのかと、少々嫉妬もする。多分、大学から、給料とは別に、本購入のための割当金が配給されているのだろうと想像する。でもさ、買った本をどこに置くのだろうと、他人事ながら心配になってしまう。何しろ、古い本は臭います。あの古書店の臭いが、家じゅうに立ち込めているのは、私には耐えがたい(笑)。著者は、言語について、その時代時代で完成されている。変化はあるが進化はないと語る。これには納得。2019/09/16
チェアー
11
気になることばは徹底的に調べる。語源、語釈、歴史。蚕豆をそらまめと読むのは初めて知った。そしてその経緯。面白かったなあ。それ以外にも知らない言葉がたくさん出てきて、改めて日本語という言語の豊穣さを思う。わたしも一度辞典を通読してみようかなあ。2019/09/12
wasabi
9
迂闊だった。『日日是好日』が心に響く一冊で、タイトルに惹かれて読んだが、馴染めぬ「学者の日記」とは。表紙にそう謳ってあるし。日記といっても、自らを「筆者」と表しているから、読まれることが前提だ。日本語の歩みを知るのは大切たし、研究も必要だけれど、こうした内容は新書で発刊願いたい。目線には視線、立ち位置には立場と言う語があるから使わないって、そりゃまあ自由なんだけど。あとがきにあるように、「書く」ことはインプットでもある。是同感。伝えるというアウトプットと同時に、自分の心情や記憶を整理するために有用だ。2019/09/11
takao
4
浅草七福神巡り 研究には書籍購入費がかかるな。 2020/03/01
K.C.
3
タイトルのとおり日本語研究者の日記。ちょっとした表現の差にも立ち止まる筆者の目の付けどころは、研究者ならでは。他方、研究のためとはいえ、これだけ本を買うんだと驚かされる。やっぱり辞書を引かなければと思う。2019/10/28
-
- 電子書籍
- マタギ列伝(1-1)