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出版社内容情報
寛永寺の創建以来、人びとの憩いの場として愛された不忍池は、数多くの文学作品、絵画に描かれてきた。明治維新を経て現代の姿に至るまで、不忍池が育んだ文化の様相を、時代のなかに多彩に浮かび上がらせる。
内容説明
寛永寺の創建以来、庶民の憩いの場として発展した不忍池は、和歌、漢詩、浮世絵など、数多くの作品に描かれてきた。幕末期には、戊辰戦争の激戦地となるが、明治以降は、文化的施設が建と並ぶ欧化政策の拠点へと変貌する。江戸から現代まで、不忍池が育んだ文化の多彩な様相を、時代のなかに浮かび上がらせる。
目次
はじめに―池が生み出すものがたり
第1章 寛永寺の誕生
第2章 蓮見と料理茶屋
第3章 戊辰戦争の激戦地
第4章 「上野」の成立
第5章 近代文学の舞台として
第6章 現代の不忍池へ
おわりに―池の持っている力
少し長めのあとがき―自然と文化、過去と現在、高級感と庶民性
著者等紹介
鈴木健一[スズキケンイチ]
1960年東京生まれ。1988年東京大学大学院博士課程単位取得退学。現在、学習院大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
64
池の源泉は「鬼門封じ」であり、戊辰戦争と大戦による二度の焦土からの復興も、文字通りの池の定義。そして、”忍ばない”のが、ヒトの心。蓮飯や料理茶屋が庶民生活の一部となり、自然に文学・俳諧・川柳などの文化に発展。1987年、不忍池と上野公園一帯が鳥獣保護区に指定されたのが、本当の戦後復興という気がする。加えて重要なのは、環境の維持・改善。世代を超えて守り、継承したいものです。花見?う~ん、あれも文化なんですよね。蛇足ですが、泉鏡花の『薄紅梅』など、気になった記載文献も数冊読んでみよう。2019/04/07
HANA
60
江戸から明治、そして現代へ。不忍池周辺の文物を通して時代の変遷、東京の変遷を追った一冊。正直地方在住者としては不忍池にそれほど思い入れが無く、一度訪ねた折にも蓮が茂っているな。程度の感想しか持たない身だったが、時代と共に、そして人々と共に変化する様子は極めて興味深い。江戸時代の蓮の名所と岸辺の茶屋も風雅で面白いが、明治以降博物館や動物園、果ては競馬場までといった変化も東京を体現しているような気もする。その辺を知る手掛かりとして、図番が多数なのも嬉しい所。一度だけ見た風景が何となく懐かしく思い出された。2019/04/20
澤水月
12
蓮の花が咲く時に音がするというのは俗説、と繰り返していたけどナイトスクープで検証し音を拾っていた覚え… さておき文学を題材に不忍池という寺社にグルメ風俗ラブホと聖俗混淆した地のありように迫る…本でなかったので自分は残念な読後感。近現代文学も詩歌に偏り?上野戦争のあたりは勉強になった。自然と人工物がいつも入れ替わり立ち替わり現れ賑わいしかし風情もある独自の池。思い切って16年はポケGO巡り弁天堂と騒動あったことなどもっと広げられた気が。綺堂も何回か触れているし2019/02/03
AR読書記録
9
時を追って不忍池の様相を記していく前半は、なんとなく想像(期待)していたより淡白な感じで(明治期の「「上野」の成立」あたりでみっちり1冊できるテーマな気もするし)、後半に入ると、不忍池の出てくる小説ガイド本、だったのかなぁ、みたいな印象が出てくる。少し気持ちを絞りきれなかった。気持ち、という点では、こちらが特に不忍池に思い入れや思い出を持たない地方出身者、ということもすごく意識させられる。本家琵琶湖のある国の出身でもあるしな。へぇ、これがね、みたいな感想も出てくるわな(狭量)。2019/04/04
多喜夢
7
記憶に残る一番古い不忍池の想い出は、祖母と夕方出かけて夜店で鈴虫を買ってもらったことだ。回り灯篭がきれいだったことも覚えている。そんな不忍池。競馬場があったことはつい最近別の書籍で知ったが、ウォータースライダーも明治時代にあったとは。文学から見る不忍池。唐十郎の水上音楽堂での芝居も語ってほしかった。最近ご無沙汰だが、明日当たり蓮の花を見に行こうか。2021/08/28