出版社内容情報
危機に立つ日本の立憲主義を〈他者の不在〉という視座から批判的に検討し、真の可能性を掬いだす。
内容説明
「自らの外側にそれ以外の考え方があると知ること、自己の外側に他者をみること、それが憲法の本質である」安保法制以来、かつてない危機にさらされる日本の立憲主義。この危機は一体何に由来するのか。法の世界に“血”“肉体”を招き入れたロバート・カヴァーの憲法論を手がかりに、戦後憲法学があえて視界の外に置いてきた“他者の不在”という難問に正面から向き合う。憲法学・哲学・社会学を横断して展開する、気鋭の研究者による力作論考。
目次
他者の不在
第1部 批判(意味の不在;近代立憲主義の理性)
第2部 全体性(意味の世界;コミットメント)
第3部 無限(存在からの脱却;贖い)
「真に善き日本的なもの」
著者等紹介
江藤祥平[エトウショウヘイ]
1981年兵庫生。2008年東京大学大学院法学政治学研究科修了(法務博士)。2012年コロンビア大学ロースクール修了(法学修士)。最高裁判所司法修習生、長島・大野・常松法律事務所弁護士、東京大学法学部助教、東京大学法学部特別講師を経て、上智大学法学部准教授(専攻:憲法)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まさにい
7
正直この本を理解するには能力不足であった。レビナスの他者論を読書後に哲学史の本で確認する。佐藤幸治が新しい憲法解釈の可能性と言っていたので、読んでみたが、時間を空けてもう一度トライしてみようと思う。最近の憲法論は難しいなぁ。2024/05/26
白雪
4
推し2020/06/04
フクロウ
2
従来、「個人(自己)の権利」をベースに組み立てられてきた近代立憲主義が、「公共」構築のため一旦追放した理解不能な「他者」を、しかしそれとともに失われた活力、血肉、情念を乾いた立憲主義を再駆動するためにリスクを承知で再び組み入れることを目指す研究。リベラリズムによる公共立ち上げのために「逆説的」に切断された私的領域の宗教や社会運動といった活力を「順接的」に取り込むために、CoverのNomos and Narrativeを最大限に利用し、ハイデガーやレヴィナスを補強材料として新しい立憲主義を立ち上げる。2022/01/21
261bei
1
尾高朝雄のノモス主権論が再評価されつつある中、「ノモス」「全体」「他者」といったリベラリズムと相性が非常に悪そうな要素を憲法理論に(再?)導入しようとする意欲的なモノグラフィー。後半はロバート・カヴァーの論説「ノモスとナラティヴ」が種本として進むがかなり難しい。素材を逐一追って再挑戦する必要があるだろう。2024/12/02
Seira
0
良かった