出版社内容情報
経済学は人間の未来のために何をすべきか。財政学の第一人者が自らの人生と思想を振り返りながら問う。
内容説明
「お金で買えないものこそ大切にしなさい」。幼き頃の母の教えに導かれ、やがて青年は経済学の道を歩みはじめる―。新自由主義に抗い、人間のための経済を提唱する著者の思想はどのようにして育まれてきたのか。自らの人生、宇沢弘文氏ら偉大な師や友人らとの交流などを振り返りながら、経済学が果たすべき使命を根源から問う。
目次
序章 自分の「生」と「思想」に向き合う
第1章 破局に向かう世界で―経済学はいま
第2章 大切なものはお金では買えない―私の思考の原点
第3章 社会を選び取る責任―「知」と格闘するなかで
第4章 人が生きる場に真理を求めて―大学を離れて生産の現場へ
第5章 経済学は何をすべきか―研究者への道
第6章 人間のための経済学を目指して―学問と社会の連携へ
終章 悲しみを分かち合うために―経済学の使命
著者等紹介
神野直彦[ジンノナオヒコ]
1946年埼玉県生まれ。東京大学経済学部卒業後、1981年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。現在、日本社会事業大学学長、東京大学名誉教授。財政学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
27
財政社会学者である著者の自叙伝。金子勝との邂逅や、愛弟子が井手英策であるエピソードなどは知らなかった。題名通り、血の通った経済学を目指した方で、地方分権や税制改革などで果たした役割は大きい。民主党政権の色がつきすぎてしまって、最近はあまり表に出てこないのが、残念ではある。2018/07/10
coolflat
14
17頁。第二次大戦後のパクス・アメリカーナのもとで、西側の先進諸国は挙って「福祉国家」を目指していた。「福祉国家」とは所得再分配国家であり、それを可能にしたのは、パクス・アメリカーナを支えた世界経済秩序である。「ブレトン・ウッズ体制」である。それは第二次大戦後半の1944年7月に連合国間で締結され、45年にスタートした国際金融体制であり、国民国家が市場経済に介入して、所得再分配によって国民生活の安定を図るとともに、自由多角的な貿易を可能にする世界経済秩序だったのである。2024/06/27
Hiroki Nishizumi
6
良かった。もっとも自伝的な内容が冗長だったり、ハイソサイエティの嫌味的なところがなくもない。それでも、大切なものはお金では買えない、という信念から新自由主義を否定しポスト福祉国家を希求する姿勢には共感した。そして宇沢弘文にも通じる学問的な姿勢には大いに惹かれた。2022/01/19
Sumiyuki
4
良書。一人の誠実な「経済学者」の軌跡。広義の経済学である財政社会学は当為に踏み込んで、社会的統合を目標にしている。分析手法は他の追随を許さないと思う。でも社会的統合とは一般意志を実現することだと理解しているが、一般意志が何を指すのか。分析が正しければそこまで深刻な話ではないが、何をもって正しいと言えるのか。歴史の審判を待つしかないのかな。『資本主義の文化的矛盾』が新生財政社会学の走り。金子氏、持田氏、金沢氏は同世代。井手氏は東大院での最初の教え子。網膜剥離のため、文字通り執筆されているとのこと。2018/08/31
Tsukamoto Kentaro
1
私の履歴書のような本。財政学の歴史っぽいものに関心がある人だったら面白いのかもしれないが、私にとってはおじいさんの自伝としか受け取れなかった。2019/02/24
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