出版社内容情報
ポー、マラルメ、ヴァレリー、エリオット、そしてツェラン――。西洋の没落が叫ばれ、反ユダヤ主義が渦巻くなか、彼ら「投壜通信」の詩人たちはいかに詩作をなしたのか。近代文学史に新たな補助線を引く画期的論考。
内容説明
難破船から放たれた壜詰の手記―。一九世紀半ばのポーから二〇世紀後半のツェランまで、ヨーロッパには、この「投壜通信」をモティーフとした詩人たちの系譜があった。「西洋の没落」という嵐のもと、反ユダヤ主義の潮流が渦巻くなか、彼らはいかに現実と対峙し、詩を解き放ったのか。言語の壁を越えて展開し、西洋近代文学史に新たな補助線を引く画期的論考。
目次
第1章 エドガー・ポーと美的仮象
第2章 ステファヌ・マラルメと「絶対の書」
第3章 ポール・ヴァレリーとドレフュス事件
第4章 T.S.エリオットと反ユダヤ主義
第5章 イツハク・カツェネルソンとワルシャワ・ゲットー
第6章 パウル・ツェランとホロコースト(上)―「死のフーガ」をめぐって
第7章 パウル・ツェランとホロコースト(下)―「エングフュールング」をめぐって
著者等紹介
細見和之[ホソミカズユキ]
1962年生まれ。1991年、大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。ドイツ思想専攻。詩人。大阪文学学校校長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かふ
16
「投壜通信」なんて書くと見知らぬ他者に向けて海に投げ込む壜に詰めた手紙でロマンチックな感じだが、ポーの「壜の中の手記」は怪奇作家そのままに絶望状態の難破船の彼岸から書いた手記だったのである。それはフランスの象徴詩人たちの興味を引いて、ポーの詩からボードレールやマラルメのフランス象徴詩がもたらされたのであるが、彼らは英語が堪能だったわけではなく(エリオットはポーの英語を貶していた)、詩人のヴィジョンを捉えたのだ。それは詩が本来は言葉に出来ない言葉を象徴性によって表現していくというそのものを捉えたのである。2023/10/25
takao
1
ふむ2021/09/09