出版社内容情報
漱石の作品や思想、人生はいま私たちの目にどう映るだろう。平成版『漱石全集』の月報から四八人の文章を精選。七つのテーマで漱石の多彩な魅力に迫る。『定本 漱石全集』予約特典を好評につき軽装版としてお頒ちします。
内容説明
一九〇六年、漱石は手紙に「余は吾文を以て百代の後に伝へんと欲するの野心家なり」としたためた。漱石の没後一〇〇年余りを経たいま、その作品、その思想、その人生は私たちの目にどう映るだろうか。一九九〇年代と二〇〇〇年代に刊行された『漱石全集』の月報から、四八人の文章を精選。七つのテーマから漱石のさまざまな魅力に迫る。現代を生きる私たちのための漱石入門書。『定本漱石全集』の予約特典を新たな装丁で刊行。
目次
1 猫とロンドン―前期小説
2 三四郎はそれから門へ―中期小説
3 こころの明暗―後期小説
4 小説から離れて―詩、翻訳、文学論
5 同時代人と漱石
6 作家の面影
7 漱石全集と私たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
126
50人の作家や評論家達が、それぞれに漱石を語る。『吾輩は...』については楽しい。『三四郎』から『それから』『門』と、次第に哲学的語りとなり、その後は苦戦した。漱石を読んでの青少年時代の思い出や、苦しい時の救いの手段とした話~田辺聖子、河合隼雄、加藤典洋ら~などは、いい。『漱石の死と寅彦』(山田一郎) 私は死に水を最初に取ったのは寅彦と思っていたが、寅彦がしたと書いたのは百間としり驚いた。山田氏は、自らも患っていた寅彦が帰った後に臨終となってしまった漱石の枕元に、百間は寅彦の幻影を確かに見て書いた(続く)2018/10/23
KAZOO
82
私は昭和30年代の漱石全集を買ってもらっていた覚えがあり、なつかしさを覚えました。この本は平成版全集の月報に連載された著名人48人の文章をまとめたものです。本当に日本人は漱石が好きな人が多いということがよくわかります。ただやはりこの7つのテーマに分かれているのですが、漱石をある程度読み込んでいる人が読むと面白いのではないかと思います。この本を漱石入門書として読むよりは、ここに書かれた人が漱石をどのように読んだかということでしょう。2022/09/20
shinano
22
本書に掲載されている『読者それぞれの漱石』感は、本来ある、読書を通じてわが身の丈を知りつ相対する他を認識することの意義を思う。漱石という人物論・作家論や漱石作品の評論では味わえない所謂『読書の良さ』『読書の愉しさ』がこの一冊から、よくうかがえる。文筆家となった人びとが夏目漱石で自分の世界を広げ書くことと読むことの相対を確立していることからも、夏目漱石はいまもなお教育者として日本文化に必要だと言えるのではないか。2020/03/11
コーデ21
17
<平成版『漱石全集』の月報から司馬遼太郎、津島佑子、古井由吉、川上弘美ら48人の文章を精選。七つのテーマで漱石の多彩な魅力に迫る> 村田喜代子さんの文を読みたくて図書館より貸出。他の作家さんのはチョロチョロとつまみ読み^^ 出久根達郎氏の「漱石の若い読者たち」が一番印象的でした✨2022/08/01
Happy Like a Honeybee
8
著名な作家や学者による、漱石にまつわる小話。 これだけ後世の人たちに影響を与え続けている事実を、看過してはならない。 川上弘美氏の作品が良かった。 2019/10/23