出版社内容情報
八月六日、原爆投下三時間後に撮影された写真から再現される地獄の真実。緻密な証言収集に科学的分析を加え、原爆によって人はどう死んでいったのか、その本当の酷さを解明。原爆という兵器の非人道性を明らかにする。
内容説明
八月六日、原爆投下三時間後に撮影された写真から再現される地獄の真実。人びとはどう逃げ、何を目にし、どんな音を耳にし、どのような苦痛を耐え忍び、あるいは力尽きていったのか。緻密な証言収集に科学的分析を加え、原爆によって人はどう死んでいったのか、その本当の酷さを解明。人類史上初めての使用から七〇年以上経ってなお、いまだ拡散する核兵器の非人道性を明らかにする。
目次
第1章 きのこ雲の下の二枚の写真
第2章 橋の上には凄惨な光景が広がっていた
第3章 写真にはどのような“痛み”が写し出されているか
第4章 橋の上は、命を救う最前線だった
第5章 私は友を置いて橋へと逃げた
終章 原爆は市民の上に落とされた
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
M
91
爆心地から数kmの「御幸橋」で原爆投下から3時間後に撮られたたった2枚の写真。そこに映る人々を探し当て取材する中で、橋へ集った理由、辿り着くまでの地獄、怪我の状況から推察される、原爆が人間に及ぼす破壊要因やそのエネルギーも分析される。戦後70年。原爆経験の生存者が少なくなる中で、一人一人の語られるその日、その後の苦しみ。原爆自体の放射線、熱戦、衝撃波、熱線、二次被害の火災、後遺症や重篤な症状や病気、心的ストレス、周囲からの偏見。爆心地付近で勤労学徒の中学生が8000人も亡くなったことも悲しい。2017/12/06
かいゆう
28
広島原爆投下の当日、街の中心部で人々を捉えた写真はたった2枚だけという。原爆投下からわずか3時間後、爆心地から2.3キロ離れた「御幸橋」で撮られた写真をもとに、あのきのこ雲の中で何が起きていたかを解明していく。ぼろぼろになった姿、座り込む人々、破壊した建物、一見しただけではどうにか助かった人達の姿。しかし、生き残られた方やそこを通った方の証言から、橋に辿り着くまでにあった事、橋の上にいた人の状況、なぜその橋に来たのか、何をしていたのか、戦後70年に渡ってどう生きてきたのか、痛みが伝ってくる内容だった。2017/11/20
きいろ
25
1945年8月6日。あの日、きのこ雲の下でなにが起きていたのか。この番組、見ていないけれど読んでよかった。犠牲者の多くが中学生だったこと、火傷の真実。小学生の頃はだしのゲンを読んだときの衝撃、はじめて平和祈念資料館へ行ったときの衝撃、そして本書。できるだけたくさんの人に読んでほしい。そして知ってほしいと思う。2018/12/06
ケニオミ
17
必読書です。広島原爆投下3時間後に撮影された御幸橋での二枚の写真。その写真に偶然写っている人から、御幸橋での出来事、そして御幸橋に辿り着くまでの地獄絵を再現するノンフィクションです。広島原爆では十数万人の市民が亡くなりましたが、数では表すことのできない、一人ひとりの経験が胸を衝き、時々目頭が熱くなりました。法律を変えて戦争ができる仕組みを作る動きが進んでいますが、反対に、法律により、どうしても戦争ができない仕組みを作るべきだと強く思いました。始めると中々止められないのが戦争。始めてはダメです。2017/11/23
まゆまゆ
16
原爆投下当日の8月6日に撮影された写真は、たった2枚。その2枚の写真から、原爆がどのように町を破壊し、人間を傷つけ、殺したのか。あの日、広島にはどのような光景が広がっていたのか…を検証する。というもの。被爆者の方への取材、火傷など、色々な専門家の先生への取材。その過程がとても丁寧で徹底していて、「原爆の悲劇を後世に伝える」という被爆者の方の気持ち、スタッフさんの熱意が伝わる1冊でした。たくさんの人に読んでもらいたい本です。2022/08/20