「大衆」と「市民」の戦後思想―藤田省三と松下圭一

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  • サイズ A5判/ページ数 416p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784000611978
  • NDC分類 311.21
  • Cコード C0031

出版社内容情報

政治学者の藤田省三(1927―2003)と松下圭一(1929―2015)は、1950年代半ばの日本社会における「大衆」の問題に主眼をおきながら自らの思想を築き上げた。「現代」という時代と格闘した二人のデモクラットの思索を対照させながら、戦後日本の「市民」概念がいかに「大衆」を意識しつつ形作られたかを探る本格研究。

内容説明

藤田省三(一九二七‐二〇〇三)と松下圭一(一九二九‐二〇一五)は、一九五〇年代半ばの日本社会における「大衆」の問題に主眼をおいて自らの思想を築き上げた。「近代」とは区別された「現代」という時代に向き合った二人のデモクラットの軌跡から、戦後日本の「市民」概念がいかに「大衆」を意識しつつ形作られたかを浮き彫りにする。「大衆」「市民」「天皇制」「民主主義」をめぐる戦後思想史研究。

目次

プロローグ 「大衆民主主義」再考
序章 「大衆」と「市民」の概念史
第1章 敗戦と自由
第2章 天皇制と現代
第3章 市民と政治
第4章 先進産業社会の二つの顔
終章 「国家に抗する社会」の夢

著者等紹介

趙星銀[チョウサンウン]
1983年韓国忠清南道生まれ。2006年韓国延世大学政治外交学科卒業。2015年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。現在、明治学院大学専任講師。専攻は日本政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ぽん教授(非実在系)

2
藤田は観念論的で普遍的なものから個の独立自立を目指し、松下はイギリス経験論的なものの見方から具体的な市民の自治を目指した。共に東大丸山ゼミ出身の法政大教授の左派メディア知識人であったが、大衆社会や高度経済成長への認識は真逆であった。士官学校が終戦で廃止されたので田舎に帰って農作業をしても「惰性でやれる農業」と見なし農民に冷たかった藤田は、もし日本が戦争に勝って軍部が続いていれば頭の固い理屈屋軍人になっていたことだろう。逆に、松下は大衆文化に親しみ空気に飲まれやすかった。キャラの違いである。2017/09/20

千住林太郎

1
松下圭一と藤田省三の比較を行った本。両者とも国家に抗する社会を夢みたが、目指す社会は異なる。松下が人々が自由に行動しその可能性を開花させる社会を目指したのに対し、藤田は、普遍的な価値を有し、国家や集団に抗する独立した個人からなる社会を理想とした。高度成長の評価を巡っても二人は対立する。松下は高度成長で生まれた余裕により個人が市民として成長すると期待する。藤田は、高度成長によって実現した快適な生活が個人を体制に順化させてしまい新たな全体主義を生むのではないかと危惧する。個人と社会の関係を考える上で有益な書。2017/08/12

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