セカンドハンドの時代―「赤い国」を生きた人びと

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セカンドハンドの時代―「赤い国」を生きた人びと

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  • サイズ B6判/ページ数 624p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784000611510
  • NDC分類 986
  • Cコード C0097

出版社内容情報

旧ソ連に暮らす一般の人びとに取材をおこない、21世紀に甦りつつある抑圧的な国家の姿をとらえた大著。

内容説明

「思想もことばもすべてが他人のおさがり、なにか昨日のもの、だれかのお古のよう」私たちは「使い古しの時代」を生きているのか―21世紀の国家像をあぶり出す、ポスト・ソ連に暮らす人びとへのインタビュー集「ユートピアの声」五部作、完結編にして集大成。2015年ノーベル文学賞作家、最新作。2013年メディシス賞(エッセイ部門)受賞(フランス)、2014年ボリシャーヤ・クニーガ賞(読者投票部門)1位(ロシア)、2015年リシャルト・カプシチンスキ賞受賞(ポーランド)。

目次

第1部 黙示録による慰め(街の喧騒と台所の会話から―一九九一‐二〇〇一;赤いインテリアの十の物語)
第2部 空の魅力(街の喧騒と台所の会話から―二〇〇二‐二〇一二;インテリアのない十の物語)
庶民のコメント

著者等紹介

アレクシエーヴィチ,スヴェトラーナ[アレクシエーヴィチ,スヴェトラーナ] [Алексиевич,Светлана]
1948年ウクライナ生まれ。国立ベラルーシ大学卒業後、ジャーナリストの道を歩む。綿密なインタビューを通じて一般市民の感情や記憶をすくい上げる、多声的な作品を発表。戦争の英雄神話をうち壊し、国家の圧制に抗いながら執筆活動を続けている。2015年ノーベル文学賞受賞

松本妙子[マツモトタエコ]
1973年早稲田大学第一文学部露文科卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

284
初めに告白すると、苦手だった現代世界史の中でもいちばん個人的にとっつきにくかったロシア史。ペレストロイカ以降生き抜いた、「普通の人たち」の声が集められた作品。民衆の声を通して、史実や人びとの絶望が聞こえてくる。それは当然ながらどんなフィクションよりも凄惨で、救いはもちろん明るさすらない。翻訳者の苦労が伺われた作品であり、ふと英訳で読んだらどうだったろうとも思った。巻末の年表と人名注は、それだけでもうお宝だ。2017/08/13

夜間飛行

229
ペレストロイカのせいで預金が紙屑になった人。凄まじい暴力に晒された人。戦車に立ち向かう群衆。スターリンを信じ資本主義(金銭欲や競争)への不信感を訴える人々。自分を拷問し、さらに妻を殺した党のために戦ったことを誇る共産主義者の老人。アルメニア人やタジク人というだけで殺される話は私の想像を超え、妊婦の腹を裂くなど残虐行為にハンマーで頭を殴られるような衝撃を受けた。戦争とテロと暴力の連鎖が続く中、若い世代の自殺の話は何とも辛い。愛の話も沢山あった。愛が限りなく美しい愚かさだというのはどんな世の中でも同じらしい。2021/12/26

夜間飛行

186
再読。アレントのいう全体主義の本質は、人間から中心が隠されてあることだった。人間的なものに決して還元できず、傷つけられる当人だけが直面するしかないような不条理は、長く人々の心に残存したのではないか。ペレストロイカ後に入ってきた資本主義も不条理と感じる人々が沢山いたようだ。本書にある言葉の表出は、各自が生きる上で直面した憧れ、愛、苦しみ…等々を力強く訴える。台所で静かに話し合ったり、広場=集会に行き、爆弾のように本を所持した人々。彼らは言葉が死と隣り合わせの状況を生きたのだ。お金の時代は何をもたらしたのか?2023/06/08

どんぐり

94
社会主義ソ連(1991-2001)から資本主義ロシア2002-2012)を生きる人々のさまざまな声を拾い上げたノーベル文学賞受賞作家アレクシエーヴィチの記録文学。『チェルノブイリの祈り』と同様に、この国の歴史に翻弄された人々の苦悩がポリフォニックに語られている。スターリンの暗黒時代の亡霊が幾度も立ち現れ、チェチェン・ロシア紛争、グルジアとアブハジア、アルメニアとアゼルバイジャンの血で血を洗う争いも出てくる。→2024/01/18

アナーキー靴下

89
ウクライナ侵攻後も、ロシア国民のプーチン支持率は高く、ニュースでは「プロパガンダ国営放送が主な情報源の高齢者や地方在住者が支持層」と言っていたと思う。しかしその後、ネットで情報を得ているはずの若年層もプーチンを支持しているようだ、と判明したとき「自分が見たい情報、信じたい情報を追ってしまうのだろう」といった話がされていた。そんなふうに言ってしまったら何でもかんでも単純化できてしまうし、腑に落ちなかった。そんな中、本書を知り読んだ。旧ソ連の人々へのインタビュー集であるが、まったく単純ではない。苦しい。2022/04/17

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