不審者のデモクラシー―ラクラウの政治思想

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  • サイズ B6判/ページ数 293,/高さ 19cm
  • 商品コード 9784000611367
  • NDC分類 311.265
  • Cコード C0031

内容説明

ラディカル・デモクラシーの最前線エルネスト・ラクラウと敵対の政治学。危うい魅力をそなえたポピュリズム論から、来たるべき主体を導き出す。終わりなき同質化の外へ!

目次

デモクラシー、われら同質なるもの
第1部 エルネスト・ラクラウのポスト・マルクス主義(ポスト・マルクス主義の系譜学―ラディカル・デモクラシーの足音;ポスト・マルクス主義の方法論;政治と普遍的なるものの行方;敵対性と異質なもの)
補論 政治的オプティミストの弁明―ポスト・マルクス主義とプラグマティズム
第2部 不審者のデモクラシーに向けて(アゴニズムの隘路―シャンタル・ムフの闘技的民主主義について;不審者のモンタージュ;不審者のデモクラシー―ポピュリズム/同一化/象徴的代表/動員)
政治的作為と偶発性―戦略と政治的なもの

著者等紹介

山本圭[ヤマモトケイ]
1981年京都府生まれ。岡山大学大学院教育学研究科専任講師、国際基督教大学社会科学研究所研究員。専門は政治学、政治理論。名古屋大学大学院国際言語文化研究科単位取得退学。博士(学術)。エセックス大学政治学研究科留学、日本学術振興会特別研究員などを経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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またの名

18
同等の権利で全員参加するのを建前にしつつ同時に「不審なものを見かけたら直ちにご連絡下さい」とアナウンスする民主主義においても、包摂は常に排除を伴う。敵対による陣営の二分化を目指すと思われてるラクラウの理論を盟友ムフから切り離して純化し、友・敵関係が定まる瞬間に象徴化をすり抜ける残余としての我々にも奴らにも属さない不審者を政治に組み込む本。皆が一つになるお花畑がない以上権力関係はあり続けるため、自由を制限する権力が自由を可能にもする逆説を重視するラクラウ。著者はジジェクやローティ等の多数の批判も取り上げる。2017/07/17

msykst

11
参加民主主義にせよ熟議民主主義にせよ、そこでは参加者の「同質性」が前提にされている。しかし政治的な対立軸はヘゲモニーの産物であり、偶発性に晒されている。ムフは敵対関係の軸が偶発的である事を見抜いて闘技民主主義を説いたが、しかし見据えるべきは主体それ自体のアイデンティティが偶発性に開かれている事であり、それをラクラウは「転位」という概念で示す。それを踏まえた戦略はポピュリズムでしかあり得ない。しかし、殊に左派にとってポピュリズム戦略はかなりの困難がある。最終章、規範や理論や戦略を巡る考察は誠実だと思った。2024/11/05

瀬希瑞 世季子

3
ラクラウの図式において、空虚なシニフィアンが等価性の連鎖を拡張し、それに命名を行うことで人民のアイデンティティと政治的フロンティアを安定的に構築するのに対し、浮遊するシニフィアンはこれらの不安定化に関係する。これら2つの対立する項のどちらかのみが純粋に存在するのとはありえない。ポピュリズムは、象徴秩序の外部、代表=表象空間から排除された異質性、外部に放擲された異質な諸要素のあいだの異質性から接合関係を打ち立て、そこから同質的な空間に介入する人民を構築する。 2024/05/10

shusaw

2
同質性によって定義されるデモクラシーの原理、さらには「強い主体」ばかりが求められる傾向のあるラディカル・デモクラシー論から抜け落ちる問題をラクラウの政治理論から読み解きながら、単にその概説に止まることなく、包摂と排除の境界線にある「不審なものたち」という新たな政治的主体の形象を提出する画期的論考。 理論書なので、「難しい」と言えば難しいが、明晰な文体で、概念や論点が整理され、なおかつ現代の社会に直結する議論を展開しているので、読み物としても面白い。2018/02/02

まぶたのあるいきもの

1
山本圭氏の『不審者のデモクラシー』読了。 アルゼンチンの著名な政治思想家エルネスト・ラクラウの研究書(?) 本邦ではこれだけまとまった記述は初めてなのではないでしょうかね? 総じて本書(著者、ラクラウ、ラディカルデモクラシー)の問題意識は明確で読みやすいと思います。 本書の問題意識というのは冒頭部分にシュミットの引用があったように、 民主主義のパラドックス、平等なものは平等に取り扱われるが、平等でないものは不当に扱われる。同質化と拒否の問題です。2016/10/23

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