記憶の政治―ヨーロッパの歴史認識紛争

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  • サイズ B6判/ページ数 201,/高さ 19cm
  • 商品コード 9784000611244
  • NDC分類 238.8
  • Cコード C0022

出版社内容情報

EUとロシアの境界に位置するバルト諸国の状況を通して、ヨーロッパにおける歴史と記憶の抗争を概観する。

内容説明

歴史認識問題に揺れる東アジアとは違い、ヨーロッパでは歴史・記憶の共有と和解が進んでいるように考えられている。しかし、ヨーロッパを中東欧やロシアまでを含む全体として捉えると、そこには「記憶の戦争」と呼ばれるほどの激しさを伴う歴史観の亀裂と分断が見られる。EUとロシアの境界に位置し、複雑な記憶が幾重にも交錯するバルト諸国の状況を通して、ヨーロッパにおける歴史認識の抗争を見る。

目次

プロローグ 「ブロンズの夜」―二〇〇七年四月エストニア・タリン
第1章 歴史に埋め込まれた紛争―バルト諸国史をめぐる対立の構図
第2章 排除か、統合か、同化か―ロシア語話者住民問題
第3章 「記憶の戦争」―歴史と記憶をめぐる政治と紛争
第4章 ヴァシリー・コーノノフ―反ファシズム英雄から戦争犯罪者への転落と反転
エピローグ 接続される歴史・記憶政治―モスクワ・北京・東京

著者等紹介

橋本伸也[ハシモトノブヤ]
1959年京都市生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程学修認定退学。博士(教育学)。現在、関西学院大学文学部教授。専攻は西洋史、ロシア史、バルト地域研究、比較教育社会史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Toska

8
ソ連崩壊後、エストニアとラトヴィアで一挙に噴出した歴史認識紛争を詳述する。両国とも想像以上にアグレッシヴで、西欧の価値観に流されたのではなく寧ろ旧来のヨーロッパ戦後史観に挑戦し、冷戦期の全体主義論を膨らませた結果、EU自体を反ロシア的な方向へ引きずり込んだという印象。対するロシアは、これを奇貨として反西側路線に舵を切り、結果として今に至る救い難い政治状況が生じてしまった。どこかで歯止めがかかる気配がなく、読んでいて無力感ばかりが募る。しかも、著者が述べている通り、日本と無縁な話では全くないのだ。2022/03/25

Pyonkichi

3
バルト諸国における第二次大戦の記憶をめぐる政治を扱った本といえば、非常にマイナーなテーマのようにも思えるが、本書はヨーロッパのみならず東アジアにおける歴史認識紛争の見直しまでも視野に入れた、広い射程を持つ議論を展開している。ナチスドイツとソ連による多重的な「占領」を経験した中東欧諸国の歴史認識が、西欧の正統的な歴史認識をも揺るがし、「大祖国戦争」でのファシズムに対する勝利をアイデンティティの根幹に据えるロシアが激しく反発するという構図は、ロシアによるウクライナ侵攻の背景を考える上でも重要だろう。2022/03/26

鴨長石

3
このたびのウクライナ侵攻では、いかにロシアを理解していなかったのかを世界中が思い知らされた。本書はバルト三国の話が中心だが、ロシアと東欧諸国の複雑な関係を浮き彫りにする好著だ。二次大戦の記憶のされ方が各国によってさまざまだということを補助線にすれば、複雑な関係も整理できる。東欧諸国は、ロシアの脅威にさらされ続けてきたところにやってきたナチスを解放者として迎え、果てはホロコーストまで加担してしまった。プーチンの「ナチ化を防ぐ」という大義名分は噴飯ものではあるが、ロシア目線ではいたって自然な感情なのだ。2022/03/22

しんい

2
ナチスドイツによる「解放」と旧ソ連による占領、ロシア帝国時代のドイツ貴族による統治。バルト三国でナチスが完全否定されきらない背景が、丁寧に描かれています。2020/04/30

まると

1
バルト三国にとって歴史認識問題がこれほどまでに大変な問題であるとは知らなかった。ドイツのほか、ロシア(旧ソ連)も絡んでいてアジアの状況とは違った複雑さがある。日中韓で起きている歴史認識問題を考えるときにも参考になる一冊でした。2017/11/08

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