出版社内容情報
多くの政治家への聞き取りを行ってきた著者が、貴重な証言テープをもとに描く戦後政治史の一断面。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
29
オーラルヒストリーの大家とされる著者による、日本政治史。とりわけ岸信介を中心とする1960年の日米安保改正交渉の舞台裏の話が面白い。正負両面を抱えていた岸政権だが、不平等だった安保をできる範囲で平等にしたという業績は認めるべき。民間出身の藤山愛一郎外相の政治家に転んで資産が底をついた端末。自衛隊の治安出動反対で知られる赤城宗徳防衛庁長官は最初はむしろ出動に積極的で、庁内の慎重論から反対に転じたこと、大政翼賛会の非推薦候補だったことを勲章にしていた三木武夫は地元の選挙区事情でならなかっただけで(続く)2017/11/26
koji
9
安保改定前後の政治状況における当事者の生々しい証言もさることながら、生身の政治的人間像に大いに興味を持ちました。著者が言うように政治家の意思決定は、権力作業と政策作業が綯い交ぜになって形作られますが、その本質を著者は丁寧に聞き取っていきます。その秘訣を著者が「聞き手と話し手の信頼感(距離感)」と言うのは得心がいきます。エピソードを一つ。バルカン政治家三木武夫は徳島で後藤田・三木戦争を繰り広げました。徳島勤務時、上司から徳島では政治の話はタブーと厳命されたことを思い出しました。政治闘争の凄まじさの一面です。2016/05/04
エドバーグ
3
岸政権での安保改定、細川政権の瓦解の内情が よくわかります。中選挙区ではカネが必要、小選挙区でそれを改善しようと政治改革が実施されたのを思い出しました。昨今の選挙を見ると一長一短なことが身にしみます。2020/01/21
バルジ
1
同じ著者の『岸信介』『戦後史のなかの日本社会党』の姉妹編とでも言える内容で面白かった。 政治家の美辞麗句の裏に隠れた烈しい権力欲とその人間模様は、イデオロギー云々ではない「人間」の本性を思い知らされる。2017/09/08