内容説明
米軍占領下から念願の日本復帰を果たした沖縄の姿を、在沖新聞社を代表する元カメラマンが40年以上にわたって接写し続けてきた。今なお米軍基地問題に蹂躙され、本土の政治に貶められている沖縄。“本土並み”の真実と欺瞞に迫る。歴史的貴重な報道写真に詳細なキャプションを付し、沖縄の現在を知る資料性の高い一冊。
目次
1 フェンスから―基地植民地の実態(米兵少女暴行事件糾弾県民大会―1995年10月21日;相次ぐ米軍戦闘機事故;沖国大ヘリ墜落事件―2004年8月13日;教科書検定意見撤回県民大会―2007年9月29日;“世界一危険な基地”普天間、配備されるオスプレイ;あらたな闘争、辺野古をめぐって)
2 抗う島―復帰は何をもたらしたのか(復帰前夜、爆発した沖縄の怒り;復帰、沖縄処分ふたたび)
3 魂(マブイ)の響き(「集団自決」の傷跡;遺骨収集)
著者等紹介
山城博明[ヤマシロヒロアキ]
1949年生、沖縄県宮古島出身。報道カメラマン。沖縄大学在学中より、コザ騒動をはじめとする沖縄復帰闘争を撮影、発表。読売新聞社を経て、1985年琉球新報社に入社、同社写真映像部に長く勤務した。1991年および92年に九州写真記者協会賞受賞。ライフワークで沖縄・奄美の自然などの撮影も続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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更紗蝦
11
米軍占領下と、日本復帰後の沖縄の実態がよく分かる本です。米軍基地返還跡地から枯葉剤の投棄による汚染が発覚されるも、県民の健康被害は検証されておらず、環境調査に膨大な時間と経費がかかるという事実は、基地問題はヘリの墜落や暴力事件だけにとどまらず、少なくとも今後数十年以上かけて対処せねはならない問題だということを意味しています。未だに山野で野ざらしになっていたり、ガマの中の水底に沈んでいたりする戦没者の遺骨や、集団自決の傷跡を身体に残している生存者の方々の写真は、あまりにも痛ましいです。2016/01/11
コジターレ
8
胸が苦しくなる一冊。僕自身も心のどこかで、沖縄を日本から切り離し、一面的に捉え、他人事のように思い、観光地として見ていた。そのことが恥ずかしく、同じ日本人として沖縄の人に申し訳ない。基地問題も原発も日本人として、きちんと向き合わなければならないと思った。2016/08/17
ハッピーフィールド
1
この本には沖縄の怒りが詰まっている。その怒りが今もなくなっていないことを思い知らされる。日本復帰して43年も経つというのに、どうしていまだに本土並みに普通の日常を送ることができないのか、と問われる。沖縄の人々は戦後ずっと怒りの声をあげ続け、迫りくる現実に抗ってきた。この写真集は、その記録である。 写真の1枚1枚には、見た者が沖縄に無関心でいることを許さない迫力がある。2015/05/21