内容説明
二〇〇七年から〇九年にかけて刊行された『網野善彦著作集』付録の「月報」には、著者の学問と人柄をめぐる興味深いエピソードや思い出話から、「国民的歴史学」運動をめぐる貴重な証言まで、多彩なエッセイが寄せられた。友人、同僚、教え子、交流した内外の研究者、さらに数々の著作の誕生に関与した編集者らによる「月報」掲載の全エッセイに、雑誌『図書』掲載の対談(笠松宏至×勝俣鎮夫)を加えて、没後一〇年を経たいま、一書に編み直す。
目次
対談 網野善彦さんの思い出(笠松宏至・勝俣鎮夫)
1 戦後歴史学と青春―学生時代~一九六〇年代を中心に
2 『蒙古襲来』『無縁・公界・楽』の頃―一九七〇年代を中心に
3 新しい歴史学の展開―一九八〇年代以降
4 人と学問の魅力
座談会「網野善彦著作集」編集を終えて(稲葉伸道・桜井英治・盛本昌広・山本幸司)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
浅香山三郎
18
『網野善彦著作集』は個別の本として持つてゐるからいいや、といふことで改めて買はなかつた。月報は他所でチラつと見たかも知れぬが、かうして一書にまとめられるとなかなか面白い。ひとつは網野氏の人柄がよく分かるから、まうひとつは、網野氏の学問の位置が分かるからといふのがその理由だ。それに、常民研月島分室時代を含む1950年代前半の様子について、本人以外からの証言が多数述べられてゐるのが興味深い。これは史学史的な関心でもあるし、同時に当時の前衛党(具体的には日本共産党)の権威のありやうにも関心をもつからである。↓2020/04/30
頓狂老人
0
こんなのも読んでゐた2017/02/08
いちはじめ
0
『網野善彦著作集』の月報に寄稿されたものをまとめたものなので、巻頭の笠松宏至・勝俣鎮夫の対談以外、全部読んでいるが、まとめて読むと網野善彦のひととなりが浮かび上がってくる感じ。これだけ多くの人が語っているのに、その人物像に大きなぶれがないのが、著作集の月報向けという点を差っ引いてみなければならないだろうが、面白く感じた。2015/08/31