出版社内容情報
馬どうしはもとより人とも絆を築けるのは、豊かに備わったコミュニケーション能力があるからではないか。顔や音声で多彩な感情を表現し、相手の些細な表情や声色の変化も見逃さない。空気を読み、仲間を思いやることもあれば、嫉妬もする。このかけがえのない相棒とよりよく共生する未来のために、動物心理学にできることは何だろう。
【目次】
はじめに
1 群れで暮らす
ウマとの出会い
親しい仲間とのふれあい
ハレム群と若オス群
自然下で暮らす御崎馬
群れになじむメリット
寄り添って過ごす母子
母親は子の安全基地
子に寛容な母親
母親が見せる強い愛情
ベビーシッター
コラム◎親しくなるのは似た者同士
2 ヒトとともに暮らす
ウマはヒトの相棒
家畜化の条件
家畜化の起源
ヒトとの暮らしの中での役割
馬具の開発
戦場で
使役馬として
祭祀や儀式で
スポーツで
娯楽として
ヒトの良き相棒となりえた理由
ウマに恩返しがしたい
コラム◎家畜化にともなう変化
3 よく見て、学んで、頼る
敏感で繊細
「賢いハンス」の逸話
数えることはできる
お手本を見て学ぶ
ヒトからも学ぶ
困ったときにはヒトに頼る
コラム◎困ったときにヒトを見つめて助けを求める動物たち
4 感情を伝え、読み取る
意外と豊かな顔の表情
体を使って表す
音声で表す
感情が伝染する
表情や声色から感情を推理する
ヒトの緊張も伝染する
ヒトの感情も推理する
ヒトの表情と声色を結びつける
ヒトはウマの感情を推理できるか
コラム◎家畜がヒトに表情を見せるメリット
5 嫉妬も、思いやりも
友だちをとられたくない
大好きな人にかまってほしい
公平がいい!
喧嘩の後は仲直り
宥めたり、慰めたり、仲裁したり
ごはんは分け合って食べるのがいい
コラム◎思いやりと公平感のバランス
6 すぐれた記憶力
餌はどこに?
ルールを学ぶ
何年覚えておける?
ヒトの表情が与える印象の記憶
「罰」の記憶
コラム◎動物の記憶いろいろ
7 ウマとともに歩む未来
文化とこころを支える存在として
日本の飼育ウマをめぐる現状
引退競走馬のその後
よりよい余生を
在来馬の危機
北海道和種馬の利活用
御崎馬の保存
共生に向けて、動物心理学ができること
あとがき



