出版社内容情報
量子コンピュータのからくりや研究開発の過去・現在・未来について,わかりやすくかつ正確に説き明かす.
内容説明
ひと昔前まで実現不可能とされてきた量子コンピュータを取り巻く環境は短期間のうちに激変した。従来の古典コンピュータを超越しうる不思議なからくりとは何か。いかなる歴史を経て現在に至り、どんな未来が待ち受けているのか。気鋭の研究者として体感している興奮をもって、明快かつ科学的な正確さを期して解説する。
目次
第1部 物理学とコンピュータの歴史(量子力学の誕生;コンピュータと物理法則;量子コンピュータの夜明け前)
第2部 量子コンピュータの仕組み(量子情報と量子ビット;量子コンピュータのからくり;量子とノイズのせめぎ合い;ブレイクスルー)
第3部 量子コンピュータの挑戦(量子超越をめざして;量子コンピュータはスパコンに勝てるのか?;宇宙をハッキングする)
著者等紹介
藤井啓祐[フジイケイスケ]
1983年大阪に生まれる。2002年大阪府立天王寺高等学校卒業。2006年京都大学工学部物理工学科卒業。2011年京都大学大学院工学研究科博士課程修了(原子核工学専攻)。博士(工学)。大阪大学特任研究員、京都大学特定助教、東京大学助教、京都大学特定准教授を経て、大阪大学大学院基礎工学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
inami
21
◉読書 ★3.5 今年2月に読んだ『次のテクノロジーで世界はどう変わるか:山本康正』に、「近未来のテクノロジーの主役は、①5G ②クラウド ③人工知能(AI)の3つのメガ(基幹)」という記述があったが、個人的には「量子コンピュータ」も世の中に大きなインパクトを与える(必要とされる)テクノロジーだと思っているので読んでみた。本書は「量子力学の誕生」に始まり、「量子コンピュータの仕組み」、・・「宇宙をハッキングする」まで、技術寄りというより技術オンリーなのだが、分からないながらも夢がある世界で面白かった!2020/04/25
さえきかずひこ
13
量子は原子、それを構成する陽子や電子、中性子や光を粒子として考えた時の光子、ニュートリノといった、粒子と波の性質をもった極小物質のことで独自の物理法則に従う。それを体系化した学問が量子力学であり、その原理を適用・応用し、現在のコンピュータとは比較にならない膨大な計算を短時間で行う量子コンピュータが開発中である。3〜40年くらい経つとそれが高度なレベルで実用化され、科学・材料・医療などの分野に変革を齎す可能性があると展望を示し結んでいる。量子力学を知らなくても丁寧な説明で分かりやすく読めるお薦めの一冊です。2020/09/26
シタン
12
アニーリング方式はアレだが、ゲート方式はまだ期待してたりする。この本は内容が浅すぎて特筆すべき収穫はなかった。AIとかデータサイエンスみたいにならないでね?(もうなってる?) 今後、量子コンピュータに対してどう距離をとっていくべきか。2021/08/14
しんすけ
11
量子コンピュータに関する概論書。つまりこの本を読んで判ることは量子コンピュータは量子力学の応用であるということだけだ。 だが、どのようなことを学べば量子コンピュータ理解に近接できるかは明らかにされている。 第7章「量子コンピュータのからくり」を読むと、複素線形空間の知識が必要とされることが解る。 興味を持ったならばここから地味に学んでいけば、量子コンピュータが身近なものであることを知ることは可能なはずだ。 マルチネスが次のように言っている。 2019/11/25
月をみるもの
10
Google 様による、量子超越性の解説: https://japan.googleblog.com/2019/10/quantum-supremacy-using-programmable.html2020/01/13