出版社内容情報
有毒物質もつくるしレーダーにもなる.高度で複雑な仕組みをもつ生き物たちの「包装紙」のトンデモな話.
内容説明
ポロポロとはがれ落ちるような柔な皮膚もあれば、かたや脱皮でもしない限り脱げない頑丈な皮膚もある。生き物たちの皮膚は一見不合理のようだが、それぞれが進化の産物であり理由がある。からだを防御するだけでなく、色や形を変化させて気分も表現できる。生き物たちの「包装紙」のトンデモな仕組みと人間の進化がついに明らかになる。
目次
1 人間だけじゃない!
2 皮膚は最強のバリアだ!
3 皮膚は生まれ変わる?
4 植物だって「皮膚」でできている
5 なんといっても皮膚は防御
6 極限環境のなかでも平気な皮膚
7 驚くべき進化を遂げた皮膚
8 コミュニケーションする皮膚
9 人間の皮膚を再考する
10 家を出た人間
著者等紹介
傳田光洋[デンダミツヒロ]
1960年神戸生まれ。1985年京都大学大学院工学研究科分子工学専攻修士課程修了。京都大学工学博士。1993‐96年カリフォルニア大学サンフランシスコ校研究員。2009年から資生堂グローバルイノベーションセンター主幹研究員。2010年から科学技術振興機構CREST研究員を兼任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
101
サブタイトルは「生き物たちの驚くべき進化」生き物たちの皮膚は単なる「包装紙」を超えトンデモな進化を遂げた。皮膚についてとてもわかり易く書かれている。皮膚とは何か、皮膚は考える/興奮する/変身する。痒みや乾燥、ストレスはどのように皮膚に悪影響をおよぼすのか。皮膚の老化についてなど。驚くべき進化を遂げた皮膚という章では様々な生き物たちの皮膚について書かれており興味深く読むことができた。図書館本2020/02/23
アキ
98
なぜ人は他の動物に比べて体毛がこんなに薄いのだろうとずっと疑問に思っていた。著者は化粧品会社に勤め、UCSFに留学経験のあるケラチノサイトの研究者。ゾウリムシからトマトまで皮膚は家に例えると屋根であり外壁であり、防御機能が第一である。人間の皮膚にいちばん似ているのは、カエルの皮膚だという。ヒトのケラチノサイトは五感も情報処理能力もある。約120万年前に体毛を失った人は同時に脳を発達させた。表皮を情報のセンサーとして、あえて「家」を出ることで外界にさらし、世界の果てを目指して歩き出したのではないかと論じる。2021/08/12
やいっち
79
人類はある時期(一二〇万年前)、体毛を失った。 お蔭で馬もだが、汗を流すことで体温調節が可能になり、長距離を走れるようになった。 一方、ごく薄い角層は、水を通さない。 放っておいて干上がることはない。 それはケラチノサイトの変化したもの。 ケラチノサイトには電場や適切な温度、可視光、音波などの刺激を感知する機能がある。 皮膚感覚は、表皮の下に来ている神経終末や、表皮の中に入り込んでいる神経線維に担われている。 が、著者によると、ケラチノサイトも担っているというのだ。2021/09/11
月をみるもの
21
腸内細菌が精神(脳)に与える影響も大きいらしいのだが ( https://bookmeter.com/reviews/61659426 )、皮膚(神経ではなくケラチノサイト細胞)にも圧力や熱や光や音波を感じる能力があって神経系とか脳とリンクしてるのか。。。まあ眼・耳・鼻・舌なんて、空間的にも物理量的にも限定されてる感覚受容器と違って、皮膚と腸は自分と世界の「境界」そのものなのだから、逆に当然なのかもしれない。。2020/03/21
zoe
20
化粧品会社の研究員さんが執筆した皮膚の話。表紙の絵は水分を大事にする植物。生物の中と外の境界を様々な角度から切り取っています。水分の出入りだけでなくプランクトンは食事も皮膚から。メラニン生成機構と体毛消失のリンク。凍らない皮膚の成分。超低温下で体温を保持できる仕組み。イカは、環境に自分の見え方を合わせれらるし、またカメレオンはグアニン結晶の向きで色を変化させる。カバは赤い汗を出し、抗菌作用のある成分も含む。分泌物で水分蒸発を管理する。分泌物も種々形式。脱皮をする昆虫。蛇。薄いゼラチン厚いゼラチンの割れ方。2023/01/22