出版社内容情報
厳しい自然の中では,より多く子を残す性質が進化する.一見,不思議に見える不倫や浮気,子殺し,雌雄の産み分けも,日々奮闘する鳥たちの真の姿なのだ.利己的な興味深い生態をわかりやすく解き明かす.
内容説明
夫婦仲良く子を育て、種の繁栄をはかっていると思われがちな鳥たちだが、実は雌と雄は互いを利用して自らの子をより多く残そうと、日々利己的に奮闘している。つがい外の交尾や同種への托卵、子殺し、雌雄産み分けなど、厳しい自然の中で進化した、一見、不思議に見える鳥たちの興味深い生態をわかりやすく解き明かす。
目次
プロローグ 少しでも多くの子を残す性質が進化する
1 オスは多くのメスとの交尾を求める
2 メスは相手を選り好みする
3 子育ては悩みが多い
4 捕食や托卵を防ぐには?
5 人間生活の影響
著者等紹介
濱尾章二[ハマオショウジ]
1959年生まれ。埼玉県公立高等学校教員を経て、2002年から独立行政法人国立科学博物館附属自然教育園研究官。現在、同館動物研究部脊椎動物研究グループ長。博士(理学)。専門は鳥類の行動生態学、特に、婚姻システム、音声コミュニケーション(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
15
有名なカッコウの托卵以外にも、不倫や浮気、子殺し、雌雄の産み分けなど興味深い鳥の性戦略が"メジロ"おしで次々に紹介される。が、じつはオシドリの話はほとんどないので、そこに興味があるヒトは、この記事( https://wedding.mynavi.jp/kekoon/entry/2016/08/02/080000 ) でもどうぞ。2018/09/24
こぽぞう☆
14
図書館本。新刊の棚より。鳥は脳が軽い。飛ぶのに特化したためだ。その結果、生き方がある意味シンプル。というか遺伝子を残すことに徹している。その事を、最新の知見で様々に説明している。2018/10/27
キリル
10
鳥の繁殖に関わる生態学について解説してあります。「おしどり夫婦」として仲睦まじいと思っていた鳥たちが実は頻繁に不倫したり、時にはあっさりパートナーを捨てたりとシビアに生存戦略を進める姿は利己的に見えますが厳しい自然を生き抜くにはこれくらい合理的でないと生き残れないということですね。紹介されている生態を明らかにした研究成果も紹介されていて、ポイントしか触れていないとはいえよく調べたなとその熱意に驚かされます。思ったよりも複雑で激しい攻防が繰り広げられている鳥たちの生態には驚きましたが勉強になりました。2018/10/19
銀雪
5
このレーベルの本を読むのは初めて。評判良いので読んでみたけど、平易な書き口で面白かった。日本人の研究を多く引用しているというのもいい。学術的なポイントもしっかり押さえられている(と思う)。鳥の生き方はシンプルなようで、意外といろんな戦略を行って子孫を残していることがわかって面白い。鳥は雄雌どちらの寿命が長いかの話は意外だった。人間の世界の論理の話はあまり持ち込まれず、あくまでも、鳥の特性の話として振り切っているのが良い。都会の鳥と田舎の鳥の違いはもっと知ってみたい。研究に期待。2020/04/05
しゅー
4
★★出口治明さんの本の推薦図書。鳥の繁殖をめぐるアレコレ。サラッと読める薄さ。2023/04/25