内容説明
南の海で「ピヨピヨピーヨ」と聞こえたら、それはジュゴンの鳴き声かもしれない。巨体からは想像できない美しい「歌声」に魅せられた若き研究者は、野生のジュゴンを追いかけて世界の海へ。仲間たちと一緒に、録音する、分析する、観察する、飛び乗って…つかまえる?科学と冒険が、誰も知らなかったジュゴンの姿を明らかにする!
目次
1 人魚のハナウタ!?(歌うジュゴンに魅せられて;ジュゴンはどこにいる? ほか)
2 鳴き声を聴きに行く!―タイ編(海の中は音の世界;音を使って動物を調べる ほか)
3 ジュゴンに飛び乗る!―オーストラリア編(バイオロギングがしたい;オーストラリアへ武者修行 ほか)
4 修業を終えて、アフリカへ!―スーダン編(スーダンでジュゴンの調査をすること;砂漠の中のドンゴナーブ村 ほか)
5 ジュゴンの上手な守り方(ウンチを調べてジュゴンの健康診断;船の音の影響 ほか)
著者等紹介
市川光太郎[イチカワコウタロウ]
京都大学フィールド科学教育研究センター特定研究員。1978年、大阪府生まれ。2007年、京都大学大学院情報学研究科修了(情報学博士)。日本学術振興会特別研究員、総合地球環境学研究所プロジェクト研究員を経て、2014年4月より現職。専門は水中生物音響学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ニケ
18
読了日不明。年末だったと思うので多分この辺り。著者の師匠に当たる方の講義を聞いたので、紹介されたこの本を読んでみたのでした。関西弁で面白い!リズムが合うので読みやすい!天ぷらノイズに大爆笑してしまいました。水中ではエビのパチンをそんな大きな音として機器が拾ってしまうのね。ジュゴンのつかまえ方の動画を講義の後で見せてもらったので、書いてあることがわかりやすかった。つい先日、観察対象の沖縄のジュゴンの一頭が死亡したニュースに朝から切なくなりました。著者の方も調査に行かれてるのでしょうか…。2018/12/28
calaf
15
ジュゴン確保にはロデオ法(飛び乗る!)が一番らしい (笑) ジュゴンって見た事ないのですが、大きいのですよね・・・うーむ...2014/10/16
さすらいのアリクイ
14
ジュゴンの生態、鳴き声を研究されている方によるジュゴン研究についての説明、オーストラリア、アフリカでの研究活動の報告などが書かれた本。読むとジュゴンが何を食べるのか、何故鳴くのか、鳴き声の採集方法やジュゴンの捕獲の仕方など、色々知ることができます。著者の文章がユニークで、そのおかげで結構気楽に研究内容を読めたのですが、途中でジュゴンとジュゴンが住む海域の漁師との共存についてだとか、鳴き声を採った機材を海から回収できないと採集に費やした時間が水の泡になるなどシビアなお話も。読みごたえのあるジュゴン研究の本。2017/08/15
tom
14
この類の本は、けっこう好きです。でも、私にとって必ず面白いのは、東海大学出版会の「フィールドの生物学」のシリーズ。こちらは、すごい。どの本を読んでも、フィールドワーカーの熱さと執着が伝わってくる。岩波のこのシリーズは、ちょっと上品すぎて、泥臭くない。ジュゴンと人間の共生みたいなことを書いているけれど、妙に冷静で面白くもない。日本で唯一のジュゴン学者が書く本なのだから、もっと面白くなるはずなのに、たぶん編集者がダメなのだと勝手な推量をしながら読了。2017/05/16
たくのみ
13
アダムとイブの時代から「見慣れた、おいしい、栄養満点」というジュゴンは人類の拡散にも貢献していた。学者らしからぬ視点から始まり、市川先生の家庭事情までわかってしまうエッセイ風な研究書なのだ。とくに体の一部をサンプルとして擦り取る「スクレイピング調査」が楽しそう。ジュゴン保護のため「漁業をやめてしまえ」という論議には、異議を唱える著者。人間と共存できる世界を作るためにも、一日も早く、「ピヨピヨピーヨ(鳴き声)」が解明されることを願う。2014/09/27
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- 和書
- 何より大切な神との絆