内容説明
どうしたら上手く覚えられる?やる気を出すにはどうする?―勉強に悩みはつきもの。人間の記憶のしくみや、ものごとを理解するときの知識の使われ方などを、教育心理学者がわかりやすく解説。
目次
1 どうすればよく覚えられるか(一度に思い浮かべられる量を測る―メモリースパン;「くり返し」の効果と限界―記憶の貯蔵庫モデル ほか)
2 知識はどうとりこまれ、使われるか(情報をとりこむ―上からと下からと;言語から命題的表現へ ほか)
3 いかにして問題を解くか(問題理解と解法探索―数学文章題を例に;文章理解も問題解決―英文解釈を例に ほか)
4 やる気の出るとき、出ないとき(外からのやる気、内からのやる気―内発と外発;なんで勉強するの?―学習動機の2要因モデル ほか)
高校生との質疑応答(スキーマを意識的に言語化する;経験を一般化して表現する―レポートの大切さ ほか)
著者等紹介
市川伸一[イチカワシンイチ]
1953年生まれ。1980年東京大学大学院博士課程中退(心理学専攻)。埼玉大学助教授、東京工業大学助教授を経て、東京大学大学院教育学研究科教育心理学コース教授。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
58
とても興味深い1冊。勉強法というよりも、学習・学ぶこととはのように受け取った。丸暗記と意味付け記憶の違いが、わかりやすい。やはり、インデックスとなる知識・経験の絶対的な量の重要性を再認識できた。この先にあるのが、これを踏まえて、相手に伝えること・伝え方を考えること。さらに、問いを考えること。何気なくやっていることを、意図をもってやることで、その意味合いが大きく変わるのだ。概念として「セルフハンディキャッピング」「学習動機の2要因モデル」が興味深い。2023/02/18
ころりんぱ
41
息子が高校の入学前の課題本として持って帰って来たので、読んでみた。面白く読めた。息子は小説は読むけれど、この手の本は初めてなので興味を持つか、スムーズに読めるか心配ではあるが、課題だからきっと読んでくれるはず。本を読め、新聞を読めとよく言われることの理由が、この本の中に出てくるスキーマをたくさん作ることに繋がるんだなぁと、わかってくれたらいいなと思う。でもこのページ数で1200円はちと高いかなぁ?と(ノ∀\*)2016/03/24
Kentaro
38
人間というのは、写真とかビデオで撮影するように、見えたものを丸ごとそのままの形で覚えるのではなくて、何らかの意味をそこに見とって覚えようとする傾向が強い。私たちは、何か情報を与えられたときに、何らかの処理を行うわけですが、形態的処理、音韻的処理、意味的処理の順に、処理水準が深くなっていき、より深い処理をしたときほど記憶に残りやすくなる。何回もくり返しているうちにたくさんのことを覚えられるようになる、確かにこれは、人間の記憶の一つの事実だが、人間の特徴は関連付けて理解することだ。2022/11/12
墮太
27
P77“…問題を解いたとき、あるいは解けなかったとき、どういう教訓をそこから引き出してくるかが重要なのです。” 高校入学前の課題で読まされた本です。ためになる勉強法が見つかってよかったです。2016/03/22
サアベドラ
22
認知心理学の見地から探る学習のメカニズム。著者は『考えることの科学』(中公新書)、『勉強法が変わる本』(岩波ジュニア新書)の著者。扱うのは記憶術、問題の解き方にその応用の仕方、動機づけなどで、これらを構造化や抽象化、スキーマといった概念を使って解説している。高校生向けの講義を元にした本であるので、抽象的内容でありながら平易な文体かつ具体例も豊富。上記により、読めばすぐに成績が上がる、といった類の本ではない。後書きによると、本書は勉強法の「理論編」で、『勉強法が~』が「実践編」。著者は併読を勧めている。2018/06/09
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