岩波現代全書
学童集団疎開―受入れ地域から考える

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  • サイズ B6判/ページ数 273p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784000292085
  • NDC分類 372.1
  • Cコード C0321

出版社内容情報

子どもたちの悲惨な戦争体験として語られてきた学童集団疎開。しかし、受入れ地域からはまた別の側面が見える。埼玉県高校郷土部の調査を契機に、地域全体が戦時体制に巻き込まれる状況を明らかにした、新たな観点からの学童疎開史。

内容説明

子どもたちの悲惨な戦争体験として語られてきた学童集団疎開。しかし、受入れ地域からはまた別の側面が見える。県別に割り当てられた四〇万人もの学童、決定から最初の受入れまでわずか一カ月余、宿舎や食糧の工面、激化する戦争と軍事施設までもの疎開…。埼玉県公立高校の郷土部の調査を契機に、地域全体が戦時体制に巻き込まれる状況を明らかにした、新たな観点からの学童疎開史。

目次

序章 なぜ疎開受入れ地域に注目するか
第1章 学童疎開に到る道(疎開政策と東京都;割り当てられた側の事情 ほか)
第2章 決定から二カ月半での大移動―一九四四年六月末~九月(縁故か集団か、ただちに決断せよ;翻弄される受入れ県 ほか)
第3章 遠足気分の出発、激化しゆく空襲―一九四四年九月~一九四五年三月(「適切ナラザル」宿舎;疎開地における教育 ほか)
第4章 飢えの苦しみと敗戦、そして―一九四五年四月~戦後(疎開強化と学寮の再編成;重要機能を失った「重要都市」 ほか)
終章 戦争と地域社会

著者等紹介

一條三子[イチジョウミツコ]
1955年生まれ。千葉大学人文学部人文学科史学専攻卒。1984年から2016年までの32年間、埼玉県公立高校で教鞭をとる。小川町など埼玉県比企地域の自治体史編纂事業に加わり、おもに戦時期を担当。在職中の2009年に明治大学文学部で、論文「アジア太平洋戦争における地域社会戦時体制の展開」により博士(史学)学位取得。現在、放送大学埼玉学習センター非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆう。

22
とても丁寧な歴史研究。学童疎開について受け入れ側の立場から丁寧にあとづけている。また、集団疎開がけっして学童を守るためではなく、戦争遂行のためだということもわかる。貴重な本だ。2019/09/30

穀雨

5
著者が高校教諭をしていた埼玉県比企地域を題材に、受け入れ側をも含めた学童集団疎開の全体像が描かれている。わずか一年半とは思えない政策の変転ぶりから、末期戦特有の緊迫感が伝わってきた。昭和20年春から国民学校3年以上の授業が全面休止となった東京など、都市部のようすにも詳しいため、戦時下の子どもたちが置かれた環境を知るのに適していると思う。2021/06/01

七澤

1
おばあちゃんに疎開の話聞こってなった2023/07/13

反動左翼

0
東京都児童の疎開の受入れ地域の動向を、埼玉の事例を中心として、1944年6月の決定から戦後までを記述している。また、著者は、「重要都市」が戦争維持能力を失い、受入れ側の地域社会がすべてを負う総力戦最末期の状態を「地域社会戦時体制」とよぶことを提唱する。短期間に受入れの整備をしなければならなかった受入れ地域の動きと、食料や燃料、家屋の不足による児童の困難が興味深かった。2017/12/10

かいけん

0
僕の父も戦中の東京生まれ。当時はちょうど小学生で集団疎開の対象になり、実際千葉に疎開した話はうっすらと聞いている。父としてはとても辛い経験だったらしくあまり多くは語ろうとしないが、当時疎開先でずっと芋とかぼちゃばかり食べさせられたトラウマから、今でも絶対に食べようとしない。というように「疎開」話というと疎開した側の辛い経験ばかりにフォーカスされがちだが、じゃあ「疎開」を受け入れた側はどうだったのか、という話がこの本のテーマで、それが今までの「疎開」のイメージを完全にぶっ壊しにきているのでとても面白い。2022/08/24

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