岩波現代全書
パウル・ティリヒ―「多く赦された者」の神学

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  • サイズ B6判/ページ数 296p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784000291842
  • NDC分類 191
  • Cコード C0316

内容説明

第一次大戦前のドイツに生まれ、ナチスから逃れてアメリカに渡った二〇世紀の代表的神学者にして、哲学にも大きな影響を与えたパウル・ティリヒ。「脱出」と「境界線」という言葉に象徴されるその生涯と思想を、末完成性や破綻の側面をも含めて読み解き、宗教的個人主義時代のさきがけとして、ティリヒの神学・思想の現代的意義を問いなおす。

目次

序章 彼は「ジキルとハイド」だったのか
第1章 神学者となるまで、あるいは父からの脱出
第2章 世俗の中での神学者、あるいは教会制度からの脱出
第3章 アメリカへの亡命、あるいは民族からの脱出
第4章 ブロードウェーでのデビューと成功まで、あるいは自分自身からの脱出
第5章 永遠の解放と自己演出
終章 パウル・ティリヒという生き方

著者等紹介

深井智朗[フカイトモアキ]
1964年生まれ。アウクスブルク大学哲学・社会学部博士課程修了。哲学博士(アウクスブルク大学)、文学博士(京都大学)。現在、金城学院大学人間科学部教授。専門はドイツ近現代宗教思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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飛燕

3
自己嫌悪は自己に安堵感、肯定を与えてくれることがる。否定した自己を受け入れることで精神が安定する。ダメだからダメなことをしても仕方ない。ティリヒはここから進んで、否定された自己が他人にも受け入れられていることを重視した。それが自己への救済、赦し、神の愛だった。彼の神学は、破綻的な彼自身であっても、それにもかかわらず生きることは許されるのか、神は受け入れるのか、という目的で、エゴイスティックに構築されという。思想家の人生を踏まえて学問を読まないとはずれちゃうよという方法論の本にもなっている。2017/04/05

火曜日

1
対象への残酷な肯定。序〜中盤の、父の影響から抜けたいとか男女問題に関する叙述はまだ「誰でもダメなところはあるね」といった感慨に回収できるが、晩年の「遺稿政策」のくだりは(ティリヒより著者に)凄まじさがある。深井氏の他の本にも見られる編集や翻訳など出版への意識は、ラテン語聖書の独訳に携わったプロテスタントの必然か。何を改稿し翻訳し何を捨て隠して何を著作集に入れた、といういわば物証から、それら物証を存在させた何らかのイデオロギーをつつき出す。さてそこで知りたくなるのは、深井氏のイデオロギーは何かということだ。2022/12/13

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