岩波現代全書
嘘の思想家ルソー

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  • サイズ B6判/ページ数 296p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784000291750
  • NDC分類 135.3
  • Cコード C0310

出版社内容情報

「嘘」という視点から主要著作を読み直し、看過されてきたものを解釈の鍵として新たな思想家像を提示する。

内容説明

世の常識を揺るがすその思想と行動ゆえに、生前からしばしば詐欺師、虚言者、偽の思想家と非難されたジャン=ジャック・ルソー。彼こそは、真理への誠実をモットーとして、嘘について独自の考察を重ねた思想家ではなかったか。知識人の嘘、政治における嘘、子供の嘘、子供への嘘、女の嘘…。本書は、「嘘」という視点からルソーの主要著作を読み直し、従来「矛盾」や「挑発」、「狂気」とされ捨象されてきたものを解釈の鍵として、この思想家の真に先鋭的でラディカルな思考の軌跡を描き出す。

目次

第1章 マリオンと盗まれたリボン(嘘と「法廷」;再審 ほか)
第2章 政治における虚言(起源の探究と嘘;知識人の虚言 ほか)
第3章 嘘の告発者/虚言者ジャン=ジャックの誕生(政治的虚言の告発―『人間不平等起源論』再解釈;誠実性―知識人の虚言の告発 ほか)
第4章 立法者という奇蹟(問題の所在;人民と(自己)欺瞞 ほか)
第5章 子供の嘘、教師の嘘(子どもの嘘;ルソーの「方法」 ほか)
第6章 女の嘘(「恥じらい」と欺瞞性なき嘘;都市から遠く離れて『新エロイーズ』の世界 ほか)

著者等紹介

桑瀬章二郎[クワセショウジロウ]
1968年生。2001年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。パリ第7大学博士。現在、立教大学文学部教授、18世紀フランス文学・思想。Les Confessions de Jean‐Jacques Rousseau en France(1770‐1794):les am´enagements et les censures,les usages,les appropriations de l’ouvrage(Honor´e Champion,2003。渋沢・クローデル賞特別賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ラウリスタ~

10
「思想」に連載されたものは一部読んでいたが、「嘘」という視座からルソーの作品全体の捕らえどころのなさについて考える研究の一環だったんだ。はっきり言って読みにくい、しかしそれもあとがきを読む限りでは、わかってやっていることらしい。ルソーの思想を分かりやすい体系として提示することほど、ルソーを裏切るものはないだろう。嘘をめぐる一見すると瑣末なエピソードの堆積は、実はルソーのエクリチュールの根幹を成すのかもしれない。膨大な先行研究の中で、ルソーを研究するということの難しさはひしひしと感じた。2016/03/26

林克也

1
ルソーの著書を読んでいない為、手強い解説書だった。この本で考えたのは、為政者達は“嘘”を、自分が儲ける為の道具のひとつとして使っているし、宗教もまた、そうだと思うが、彼らの“嘘”は、あくまで道具であって、道徳の教科書にある「嘘をついてはいけません」という場合の“嘘”とは違うものだな、ということ。ここを間違えると“嘘”って何なのか解らなくなってしまうと思った。そういえば、村上春樹も、「嘘をつくのは小説家だけではありません」と言っていたし、あと、梨木香歩の「海うそ」、これは嘘の話ではなかったか・・・。2016/03/05

kei tomita

1
古今のルソー研究史を緻密に盛り込んでいるけど、盛り込みすぎて一般の読者に近づきがたい本になっているかもしれない。第3章はルソーの自伝的テキストまわりに独特とも言えるような最良の笑いを提供してくれます。爆笑必至。2015/12/23

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