岩波現代全書
「戦跡」の戦後史 - せめぎあう遺構とモニュメント

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  • サイズ B6判/ページ数 296p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784000291729
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C0321

出版社内容情報

戦争体験を伝えるメディアとしての戦跡。その戦跡の歴史を通して、戦争の記憶のポリティクスを描き出す。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Nobuko Hashimoto

28
広島の原爆ドーム、沖縄の摩文仁戦跡、知覧の特攻戦跡について、どのように位置づけが変わっていったのかを丁寧に検証する。摩文仁も知覧も観光による経済振興の側面が強くなり、遺構よりもモニュメントに比重が移ったこと、摩文仁の丘に競うように建てられたモニュメントには、沖縄戦だけでなく南方戦線や中国戦線の死亡者をも悼むものが多いという。/ 著者はこうした遺構やモニュメントをめぐって讃美と懐古対戦争責任追及という二項対立で膠着するのではなく、死者に寄り添う先に責任を問い直すことができないかと論じる。2021/04/05

ネムル

12
『「戦争体験」の戦後史』が非常に面白かったので、こちらも読んでみた。これらの著作を通して描かれているのが、戦争体験が伝言ゲームのように、現代まで継承/断絶されてきていることだ。原爆ドーム、摩文仁、知覧における遺構とモニュメント成立の経緯をから、歴史を直視したくない心性、都市美化、過疎化に対抗する観光地化といった様々な要素が各々の歴史のイメージを作り上げている。特にメディアの期待を内面化しながら作られる自己像→メディア→さらにそのイメージを受容していくという、合わせ鏡のような構造のイメージ再創造力は強く、2018/05/10

あい

2
地方の過疎化対策に観光として戦跡が利用され、メッセージが変わっていく例の知覧。訪れたことがあるので余計に、とても生々しかった。無自覚的、良心からの戦争の美化。「追悼」などの耳障りのいい言葉で戦争体験を利用すれば、誰かを傷つけることになる。 地方の問題と関わる点や地域の理解不足という点では、宮崎の八紘一宇の塔(「平和の塔」)なんかも、この例だろうと思う。2017/06/08

風見草

2
広島(原爆ドーム)、沖縄(摩文仁戦跡)、知覧(特攻基地)の三つの事例をたどり、モニュメントと(生の)遺構との関係を論じる。人為的に作られる碑などモニュメントはもちろん、遺構もただ存在するのではなく時代の中で"発見"され意味付けが変わっていったことが分かる。しかし遺構も美化されると生々しさを失いモニュメントになってしまう。また、意義の一般化(原爆被災地→人類の災禍、など)によって地域性が埋没するという問題点も興味深い。2015/10/24

星辺気楽

1
「平和運動」を考えるためには、なくてはならない一冊。2017/08/24

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