岩波現代全書
ヴァイマル憲法とヒトラー―戦後民主主義からファシズムへ

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  • サイズ B6判/ページ数 296p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000291682
  • NDC分類 234.074
  • Cコード C0322

出版社内容情報

史上最も民主的とされるヴァイマル憲法下で、ヒトラーはいかにして人心を掌握し、政権を獲得したのか。

内容説明

第一次世界大戦後の戦後民主主義を体現するヴァイマル憲法下で、ヒトラーは人心を掌握し、合法的に政権を獲得した。ドイツ国民を魅了したナチズムの本質を抉り出し、新たなファシズムの到来に警鐘を鳴らす。

目次

1 もう一つの戦後民主主義とドイツのファシズム(戦争とファシズムの世紀;一九三三年一月三〇日―ヒトラー内閣の誕生;ナチスは合法的に国家権力を掌握した;革命運動としてのナチズム)
2 ドイツの敗戦、もっとも民主的な憲法(民族・国家・国民;ドイツ革命からヴァイマル共和国へ;ヴァイマル憲法と最初の戦後民主主義;匕首伝説の説得力)
3 戦争する国をボランティアが担う(ファシズムとは何か?;国民はなぜナチズムを支持したのか?;自発性と社会参加―善意とやる気の組織化;「労働奉仕」の法制化と義務化)
4 死と政治(ヴァルハラという靖国神社;ヒトラー政権はまず最初に誰を抹殺したか?;国家儀礼から戦争国家へ―ファシズム政治の大道;ボランティア労働からホロコーストまで)
5 遙かな国の遠い昔ではなく(ふたたびファシズムとは何か?;ナチス・ドイツと歴史認識;二つの憲法、二つの戦後民主主義;「戦争のできる国」から「戦争する国」へ)

著者等紹介

池田浩士[イケダヒロシ]
1940年生まれ。慶応義塾大学大学院博士課程修了。1968‐2004年京都大学、2004‐13年京都精華大学に在職。現在は自由業。専攻は現代文明論・ファシズム文化研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

那由田 忠

18
なぜ人々はワイマル憲法を捨ててヒトラーを支持したかの思索。答えは人々は考えなかったと。そして、日本人もと言いたいみたい。日本の歴代政府は、「ヒトラーでさえしなかった政治的実践を重ねた」そうだ。国家社会主義でなくて国民社会主義と見るべき、ナチスの文化革命の様子はそれなりに面白い。しかし、ワイマル憲法絶賛の立場(大統領緊急令への言及あるものも)が多くなっていて、根本的弱点を明示できなかった。また、戦後にナチスを温存させたドイツ人への批判が出るものの、中途半端でよく分からない点が残念。2017/11/30

coolflat

16
世界恐慌以降、失業者の増加と共にナチスの人気が拡大していったと受け止められがちだが、それは少し違う。まず失業者は共産党に投票したという前提がある。確かに世界恐慌がナチスを利したということはあるが、失業がそのままナチスの得票につながったわけではない。ではナチスはどういった層に支持されていたのか。中間層や職人階層や自営業者に支持されていたのである。彼らは(今現在は)深刻な失業状況には陥っていない層ではあるが、明日は我が身という思いに苛まれている層でもあった。こうした予感的な危機感を吸収した組織がナチスである。2016/12/18

masabi

12
【概要】民衆のナチズムの受容と戦後の批判を解説する。【感想】おもしろかった指摘として、ナチ党が支持を伸ばしたのは明日の失業に怯える自営業者が中心だったこと、労働奉仕を通じて人件費を圧縮、資本蓄積に励んだことがある。特に後者の労働奉仕が次第に義務化され、労働力の提供と価値体系を構築する。失業対策の労働奉仕が国家への奉仕に変質していく。また、他のボランティア活動もナチズムの世界観に合流していく。労働奉仕や徴兵制など全国民が何らかの形でナチズムに関与していた。2021/07/04

みゆき

10
民衆の人権保障を定め、当時は世界で最も民主的な憲法とされたヴァイマル憲法を持つドイツでなぜナチズムが誕生したのか?この問いを考えながら、最後は日本(安倍前政権)の安全保障関連法制定や改憲という現代の問題に切り込んでいく。2021/01/04

ことぶき あきら

2
国民は静かに安心して、国が決めてくれたことを享受すればよい。国民に考えさせない、異論と共考によって深められ豊かになるような議論をさせない、というのが、ナチズムの国家社会の原理でした。自分自身は何が大切だと思うのか、自分は本当はどんな生きかたがしたいのか、そして誰と一緒に、どう生きたいのかーこれを問われることはもちろんなく、自分でこれを問うこともなかったのです。2015/12/12

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