内容説明
人類の歴史は自然からの制約によって形づくられてきただけではなく、自然を変える行為の積み重ねでもあり、その自然改変の結果がさらに社会に影響を及ぼすという、相互作用の帰結であった。人類史が人びとの頭数の増加の歴史であるならば、人口増加とともに森林面積は減少する。それどころか乱伐にいたった時代も何度かあった。しかしなぜその減少が必ずしも「森林崩壊」には直結しなかったのか。日本列島は、先進国では珍しく緑豊かで三分の二は森林に覆われている。その日本列島を対象に、国家の営為と市場の役割に焦点を合わせ、いかに森林は保全されてきたのかを解き明かす比較環境史の試み。
目次
第1章 環境史へのアプローチ(自然改変;環境保全と近代;『文明崩壊』;日本は特殊か;比較事例分析)
第2章 歴史統計から(世界の森林被覆とその推移;諸大陸、諸地域によって異なる趨勢;「大分岐」;人口と森林伐採―四つの事例;小括)
第3章 徳川日本の歴史的位置(生態環境の危機;危機への対応;荒廃の原因;市場経済の二面性;二つの主体、二つの対応)
第4章 市場の機能―比較1(徳川日本の林産物市場;伝統中国の林産物市場)
第5章 国家の役割―比較2(森林保全における近世国家;ドイツと明治林政;結論)
著者等紹介
斎藤修[サイトウオサム]
1946年疎開先の埼玉県秩父生まれ。68年慶應義塾大学経済学部卒、同大学経済学部助手、一橋大学経済研究所教授等を経て2009年より一橋大学名誉教授。専攻は経済史、歴史人口学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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