内容説明
ジェンダー平等、子どもの権利、定住外国人のシティズンシップを実現せずに、平等な開かれた市民社会を築くことができるだろうか?「多文化」をキーワードとして、ヨーロッパと日本を視野に、多様な行為者とその文化の承認が、現代社会の必須の課題であることを示す。多文化への逆風が強まる今日、市民社会の分断を批判し、“多文化社会日本”への確かな方向付けを目指す。
目次
序章 多文化であることとは
第1章 多文化あるいは差異の社会学
第2章 多文化シティズンシップへ―国籍を相対化する
第3章 マイノリティと差異の承認
第4章 多文化アプローチの行方とヨーロッパの移民マイノリテイ
第5章 ジェンダーと文化
第6章 マイグレーションと子ども―「子どもの権利」の視点から
第7章 日本社会の国際化、多文化化
第8章 「多文化」の現在―共生が進むか、ナショナリズムへの反転か
著者等紹介
宮島喬[ミヤジマタカシ]
1940年生まれ。東京大学文学部卒業。同大学院社会学研究科博士課程中退。お茶の水女子大学教授、立教大学教授、法政大学教授を歴任。現在、お茶の水女子大学名誉教授。専攻は社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Uzundk
1
全部を読む気にはなれなかった。市民社会について国家からの自立、市場から距離を取るものとしながら、国家に差別の補償を求める矛盾から論理が崩壊している。国家の主な機能が経済に対する統治機能とその支配範囲である領土保全を主とする。多文化は規制されてはいない、ただし、国家への忠誠を前提に。排他性は統治倫理の原則の一つであり、マイノリティだから、歴史的な慣習故にという理由で規範を作成するのは、平等性を損ない新たな階級を作り出す以外の何物でもない。統治機構に頼らない多文化共生の可能性をもっと探って欲しい2014/09/07
ますたけ
0
一学徒からの意見表明として問題点の提示があり、多文化という言葉に含まれる理想郷的発想とは違う現実的な生活環境の陰の部分が浮き彫りになる。問題が存在するということを理解するためには有効に感じた。2015/12/28
מיסאה טאנבה
0
あまり日本人が気づいていない、在日外国人の問題点について知ることができるし、海外の問題もよく分かる。文章も分かりやすく書かれていて良書である。日本は今後も、というより今後更に、外国人の労働力が必要になるので、彼らの人権についてもっと知るべきである。今はまだ日本を尊敬してくれる人々や国があるが、このままだと嫌われ者国家になってしまうだろう。2021/05/15