内容説明
「無心」は、最高のパフォーマンスをもたらす境地であり、それは憧れの対象であり続けた。達磨の禅、世阿弥の伝書、武道の教え、石田梅岩の心学、鈴木大拙の禅研究など、異なる時代、異なる文脈の中で、「無心」はどのように問われてきたのか。「無心」という言葉のもとに育まれた思考のいとなみを描き出すことで、柔軟でしなやかな心のあり方、その融通無碍な活力の深奥にせまる。
目次
1 無心をめぐる見取り図(「無心」という言葉―その源流を求めて;ダイナミズムとパラドックス―見取り図と本書の構図)
2 禅の無心(鈴木大拙『無心といふこと』―宗教の根底にある「無心の体験そのもの」;鈴木大拙の禅思想史研究―禅の歴史の中の無心;井筒俊彦の禅哲学―禅の無心の哲学的検討)
3 無心のひろがり(世阿弥『伝書』における無心―「心中に一物もなし」と舞台の成就;沢庵『不動智神妙録』における無心―「心をどこにも置かぬ」と「その心を生ずべし」;石田梅岩「無心の天」―「天地万物と一体となった心」と社会倫理;無邪気・無意識・無私―無心とその周辺)
4 無心のダイナミズム(パラドックスとゼロポイント―無心は反転し続ける)
著者等紹介
西平直[ニシヒラタダシ]
1957年生まれ。東京大学教育学研究科博士課程修了、東京大学教育学研究科准教授を経て、京都大学教育学研究科教授。専攻は、教育人間学、ライフサイクル研究、死生学、日本思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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