岩波人文書セレクション
ヴェブレン

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  • サイズ B6判/ページ数 242p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784000288187
  • NDC分類 331.76
  • Cコード C0333

出版社内容情報

独創的な経済学者の生涯をわかりやすい語りで描き出し、その思想と方法の今日的意義を明らかにする。

内容説明

『有閑階級の理論』など独創的な業績を残し、経済学において制度学派を創始したヴェブレン。その生涯と人となりを数々のエピソードとともに描き出しながら、難解とされるヴェブレン経済学のきわめて今日的な意義を明らかにする。行き詰まった経済学が再生するための原点と道筋を、誰にでも読める平明な語りで浮き彫りにする。

目次

第1部 ソースティン・ヴェブレン―その人と思想(疾風怒涛の時代(Sturm und Drang)
シカゴ大学のヴェブレン
スタンフォードのヴェブレン
スタンフォード大学を去って)
第2部 ヴェブレンを継ぐ人々(ジョン・メイナード・ケインズ『一般理論』;ジョーン・ロビンソンと「経済学の第二の危機」;リベラリズムの思想と経済学;ジェーン・ジェイコブスと『アメリカの大都市の死と生』;『自動車の社会的費用』と社会的共通資本;サミュエル・ボウルズと『アメリカ資本主義と学校教育;二つの「レールム・ノヴァルム」』)

著者等紹介

宇沢弘文[ウザワヒロフミ]
1928‐2014年。元日本学士院会員、元東京大学名誉教授。東京大学理学部数学科卒業。専攻、経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

105
宇沢先生の、制度学派のヴェブレンに関する評論集です。先日「有閑階級の理論」を読み直したのでこの本も再読してみました。ヴェブレンの人となりとその思想から始まり、ヴェブレンの継承者たちの業績について述べてご自分の著書との関連についても述べられています。いい本であると思われます。数式もなく割合読みやすい経済学の本だと思います。2017/03/24

壱萬弐仟縁

31
制度学派の経済学(1頁)。貧しい小作人の息子で、頑健な身体と強靭な精神をもち、社会制度に懐疑心を持っていた(10頁)。ロルフとの結婚。田園生活で、牛や馬を飼い、森を散歩し、植物蒐集していた(21頁)。カーライルも言っていたように、ケアーンズの手によって、経済学は陰鬱な科学の典型としての存在を確立することになった(45頁)。ヴェブレンは、快楽主義的人間は、前進化論的な世界にのみ通用する概念と考えた(49頁)。2016/02/11

呼戯人

10
制度派経済学の総帥ヴェブレンの伝記的研究。職人気質を人間の持つ本源的な本能としてとらえ、この気質・本能の発現が産業社会の基礎にあることを分析したヴェブレンの先駆的業績には頭が下がる思いである。しかし、この技術文明に対して営利企業による競争は資本主義のまた別の一面であり、職人気質と緊張関係にあって、資本主義を不安定にさせる原因を作っている。そしてまた有閑階級の誇示的浪費がもたらす有効需要の働きも無視できないものがある。この発想にはのちのケインズを彷彿とさせるものがあり、ヴェブレンを稀有の天才としている。2015/12/30

林克也

2
こんな先生(宇沢先生)の講義を聴いてみたかった。”経済学”というのでは括れない思想と、アメリカ、そして日本での行動・経歴に強い衝撃を受けた。ともあれ、経済学をまともに学ばなかった自分にとってはヴェブレンは勿論のこと全てが興味深く、とても勉強になった。良い本をありがとうございました。2015/12/09

chiro

1
有閑階級の理論で名高いヴェブレンについてその主張と彼に影響を受け、彼の理論をより広く伝承することに関与した人物について語られている著作。何よりも著者自身が最もヴェブレンの影響下にあったとも言えるのでその主張するところや時代背景をもとに理論だけでなく、その理論と社会の在り方について経済学がどのようにコミットし得るのかという今に至るまでの積年の課題にも言及されており、非常に示唆に富む内容である。顕示的消費の概念で有名なヴェブレンであるが、むしろ制度的な経済を提唱して後のケインズの一般理論にも影響を与えていた。2019/09/13

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