出版社内容情報
書物世界の「どん底」で生きた人びとこそが、フランス革命をもたらした。〈書物の社会史〉の傑作。
内容説明
ヴォルテール、ディドロ、ルソーら綺羅星のごとき思想家の陰にうごめく、三文文士たち。マントの下に隠して発禁本を密輪する書籍商。―一八世紀の「どん底」で生きたかれらこそが、やがてフランス革命をもたらすことになる。膨大な史料を駆使して「啓蒙の時代」をあざやかに読み直した、“書物の社会史”の傑作。
目次
第1章 革命前夜の政治と文学―啓蒙の思想から「どぶ川のルソー」まで
第2章 どん底世界に棲むスパイ
第3章 逃げまわるパンフレット作者
第4章 マントの下の書物取引―アンシアン・レジーム末期の地下出版物
第5章 国境を越える印刷工房
第6章 書物の社会史―読むこと・書くこと・出版すること
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
工藤 杳
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夢破れた三文文士たち(「彼らは韻と幻想を糧として生き、極貧のうちに死んでいく」)が詐欺まがいの悪行に手を染めながら体制への憎悪を胸に、ゴシップ・ポルノ・檄文・アジビラをばら撒き、革命を準備していくという筋書きが最高。無垢な革命などない。 決して罪なき人々ではないのですが、個々のエピソードが泣ける。なりたかった自分をPhédorというオルターエゴに投影するブリソーなど。「失敗者(あるいはles petits)の歴史」として、いかさま文士たちには愛情のある眼差しが注がれる。才能のなさ・時宜の悪さは罪ではない…2016/04/09