出版社内容情報
児童養護施設「ラ・サーム・ホーム」時代の体験に基づく自伝的小説「四十一番の少年」をはじめ、「モッキンポット師の後始末」「イサムよりよろしく」など、新進気鋭の劇作家として脚光を浴びた1970年代初頭に書かれた井上小説の原石を収める。辛みのきいたユーモアがきらりと光る「十二の微苦笑譚」は単行本初収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
読書国の仮住まい
4
『モッキンポット師の後始末』『四十一番目の少年』『イサムよりよろしく』3編収録。 既読につき省略。 『ほとんど完璧な娘』、『中年』、『洗面器』、『ある万引常習者の没落』、『野球をするシンデレラ』、『ことん ごとん』、『桃』、『アロハ・オエ』、『掻巻』、『老後の計画』、『突出部分』、『友情』 ショートショート12篇『十二の微苦笑譚』 万引者国際連盟事務局に誘われる話と息子の帰りを待つ祖母の話、老人ホーム住人が完全犯罪の銀行強盗を企む話辺り。 テレビ脚本家がいたずら3人娘に振り回される『うちの可愛い一個連隊』2021/04/25
黒とかげ
1
この驚異的な読みやすさは誰にも真似できないんじゃないなかぁ。自分も学ぶべきところが多大にある。2020/07/28
kikizo
1
「モッキンポット師の後始末」は昔読みました。懐かしかった。孤児院、ストリップ小屋の話が多かった。滑稽話が多い中、なんとなく寂しいやら悲しいやらの読後感がある。今の若者が読んでも理解できないような時代背景は、確かに氏が生きてきた時代だった。2015/04/01
からおの
0
うらぶれた雰囲気の話が多い。2017/12/02
T.M
0
第2集には、井上自身が「これはわたしが書いたはじめての小説である」と表明した「モンキンポットの後始末」が収録されている。 初期の作品ではあるが、井上の持ち味である言葉遣いの巧みさやユーモア、そして主人公を取り巻く周辺人物に対する愛情が満ちあふれている。この作品を含めて500ページを超える(それも2段組)の本ではあるが、読み進めるのにそれほどの困難さを感じない。これも井上作品の特徴だと思う。彼の作品、とくに単行本の多くはとても分厚いのだが、いつもそう感じる。2015/03/03