内容説明
転換期にある日本経済にとって本当の課題、そして処方箋とは何か。日銀の量的・質的緩和に潜むリスクを考える。
目次
第1章 金融危機後の金融政策とデフレの弊害―国際決済銀行の見解(金融危機後の主要中央銀行の苦闘;国際決済銀行への「インタビュー」)
第2章 日本経済の過去と現在(日本経済の長期的軌跡;どうすればデフレから脱却できるか―欧米経済学者の提言;安倍政権の経済政策)
第3章 非伝統的金融政策の効果(量的緩和の効果;期待への働きかけ;長期停滞論―需要不足か供給力不足か)
第4章 経済転換期における成長戦略と金融政策(潜在成長率への逆風としての人口問題;日本の人口問題;超高齢化と潜在成長率;超高齢化社会の成長戦略)
第5章 転換期の日本銀行と財政民主主義(非伝統的金融政策の巻き戻しと財政破綻;非伝統的金融政策と民主主義の矛盾をどう解決するか;日本銀行の潜在損失は民主主義と両立するか)
著者等紹介
翁邦雄[オキナクニオ]
1951年生まれ。東京大学経済学部卒業。日本銀行入行。同調査統計局企画調査課長、金融研究所長等を歴任。シカゴ大学Ph.D.現在、京都大学公共政策大学院教授。専門は金融論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kazuo
3
一般的には、高橋財政では日銀が直接国債引受を実施したのに対し、安倍政権下の量的・質的緩和は、国債直接引受を行っていないから、財政ファイナンスにはまだ踏み込んでいない、と思われている。しかし、著者は「財政ファイナンスという観点からは、現在の方が高橋財政成功期よりも深入りしている」とする。高橋は、当時、未発達だった金融市場を代替する目的で日銀に直接引受を行わせ、その後、国債を金融機関に売却することで財政ファイナンスを回避したが、現在の日銀は緩和の出口戦略について何も説明していない。将来、我々がコストを支払う。2015/11/14
aun
1
再読、やはり鋭い指摘だと思う2020/11/24
渡邊拓視
0
量的緩和のリフレ理論がいかに誤っているかがわかる本であり、そもそものアベノミクスの焦点がずれていることを人口問題から指摘していて納得した。人口問題を解決しないことには需要は飽和したままのためいくら経済政策を行っても無駄だということは明らかだ。2016/10/24
aun
0
本当に面白い。平易で、それでいて着眼点の鋭さが失われていないのは見事としか言いようがない。種々の問題提起は私も意見を同じくするところ。2020/09/11