内容説明
難病を抱え、24時間の介助を受けながらひとり暮らしをしている著者を襲った3・11。危機のなかで災害弱者であることを痛感し、錯綜する情報のなかで新たな障害者差別に出会う。殻をやぶって踏み出した脱原発運動、そして、東北の障害当事者の体験を聞く旅に出て、心のバリアフリーについて考える。瑞々しい感性で綴る、震災、障害、脱原発運動の風景。
目次
1 原発震災、起こる(その日の、虫の知らせ;エレベーター、全停止;手と、手と、手 ほか)
2 あの日の記憶を抱えて―仲間たちの語り(中澤利江さん―動けない、でも、ひとりじゃない;栗原千賀子さん―誰も死なせない;佐々木緑さん―いても立ってもいられない)
3 誰の命も一番(息ができる社会;ずっと、そうだった;当事者を、隠さないで ほか)
著者等紹介
朝霧裕[アサギリユウ]
1979年埼玉県生まれ。愛称は「ダッコ」。ウェルドニッヒ・ホフマン症(進行性脊髄性筋萎縮症)のため、車いすの生活。24時間の介助サポートを得て、さいたま市でひとり暮らし。シンガーソングライターとしてコンサートやライブ活動を行うかたわら、講演やエッセーの執筆を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
129
あの日、私は池袋にいた。電動車イスの朝霧裕氏。3.11…障害を持っている人は地震や津波や火事が起きたとき、一人では逃げられない。もう嫌だ!これが私の声なのだと思った。心に心がなだれ込んできた…。生きる自信をなくし、歩けなくて世話になって、生きていて申し訳ない。そんなときもあった。人生の困難に苦しんでいる人に、絶対に諦めなければ人は幸せになれると伝えたい。人の心もバリアフリーに近づいている。命を尊び合える社会へ。思い通りにならないことは悔しいが、今できることを大切に、この生を楽しむ。自分を卑下しないことだ。2021/02/26
ステビア
7
ある人の薦めで。2018/09/02
Butterfly
2
変わるべきは、弱い人間ではなく、その「弱さ」を受け入れない社会 ひとりひとりの「弱さから始まる生」にマルをあげよう 最近の殺伐とした中で、良い本に会えたと思う。2020/08/23
しゅんぺい(笑)
2
障害を持った朝霧さんの、震災の日のこと、そして震災を経て思っていること。 障害と震災、どちらも「孤立する」という点で、似たような状況に陥ってしまうところがあって、そこが印象深かった。2014/07/16
路地裏
1
災害でライフラインが停止することが死に直結する人の存在を考えてみたこともなかった。著者に同情したからというわけではないけれど、読んでいて苦しかった。自分がどういう立場で話せばいいかわからなくなった。感想はまだうまく整理できない。もう一度読みたい。2014/11/12