内容説明
ソシュール研究を一新し、世界に衝撃を与えた現代の古典。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きくらげ
11
旧版含め読んだ人に聞きたいのですが、ラングの「社会制度」としての側面と「記号学的原理」の側面を、ランガージュとラングの関係と、パロールとラングの関係の、どちらに割り振って読んでいましたか。僕は原理側がランガージュとラングで、制度側がパロールとラングなんですが、著作集の解題では逆の取り方をしていて、頑張って読んできて頭を打たれたような衝撃が走ったのですが。そもそもモノをコト化しうるのは実態としてはパロールであるにしてもランガージュ能力がないと無理、という捉え方だったのですが。読めたと思って全然読めていない。2023/11/13
Kyohei Matsumoto
2
ソシュール研究で有名な丸山先生の本。書いてある内容が重厚で、なかなか理解できていない。ソシュールという人物の系譜から始まり、思想の紹介、他の哲学者との相違、ソシュールの思想の批判的検討などが主な内容である。個人的に関心が高かったのは、ランガージュ、ラング、パロールという言語の区分のなかで、ラングを社会的なものや他との差異で生まれるものとし、パロールを個人的な言語の実現とし、パロールは既存の言語の在り方を改変する人間の主体性を備える側面として意味付けているのが関心が高かった。2020/03/20
神田カリ太郎
2
まず著者の「言葉とは何か」(ちくま学芸文庫」を読まれることをお勧めします。薄い本ですのですぐに終わると思います。そうしたらいよいよ本書のページを開きましょう。でも実を言うと5巻から読み始めた方が短いエッセイなどが載っていて著者の人となりがわかり、よい準備運動になります。著者の言語についての分析にはやや現象学的傾きがあると、別の巻の解説でお弟子さんが述べられています。私は現象学についての知識はないのですが、一般教養としての言葉への哲学的な認識についてはこれで十分と言っていい名著だと思います。
Püppie
1
こういう二次文献めいたものはあんまり読まないのだけど、ソシュールの書き残したものがあまりにも少ないので、現代思想に言及しつつ書いているこの本を読んでみた。丸山の伝えるところによると、レヴィ=ストロースはソシュールの影響を受けた言語学者ヤコブソンを通して彼の思想に触れたという。ラング、パロール、ランガジュという言語現象の構成要素は、レヴィ=ストロースの神話研究を独特のものにしている。それは、言語という人間の活動全般に関わる現象を見えやすいものにし、人文科学に新しい尺度を付け加えたのだ。2010/03/07