岩波人文書セレクション<br> 文化の「発見」―驚異の部屋からヴァーチャル・ミュージアムまで

電子版価格
¥2,860
  • 電子版あり

岩波人文書セレクション
文化の「発見」―驚異の部屋からヴァーチャル・ミュージアムまで

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 280p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000286817
  • NDC分類 389
  • Cコード C0339

内容説明

本書で試みられたのは、ミュージアムのたどってきた歴史を見つめ直し、そこにある問題点を明らかにすることで、次の時代のミュージアムのあり方を問い直すことだった。そのあり方には二つの選択肢がある。すでに価値の定まった「至宝」を人びとが拝みに来る神殿としての「テンプル」を目指すのか、あるいは人びとが集って未知なる物に出会い、そこから議論が始まっていく場所としての「フォーラム」を目指すのか。そしていまミュージアムは、ますますフォーラムとしての性格を色濃く帯びるようになってきている。

目次

第1章 「異文化」の発見―民族誌展示の系譜(初期(一六‐一七世紀)のコレクション―「珍品陳列室」あるいは「驚異の部屋」
博物学の成立、博物館の誕生―一八世紀
博物学が作り出した「野蛮人」像―一八世紀後半-一九世紀前半
民族学博物館の時代―一九世紀後半
二〇世紀の民族誌展示
「アール・ネーグル」の発見と二〇世紀)
第2章 近代日本における「自文化」と「異文化」の発見―「東博」と「民博」のコレクション(東博のたどった道;民博への道;近代史における東博と民博)
第3章 「異文化」と「自文化」の出会い―「二〇世紀美術におけるプリミティヴィズム」展を考える(博物館と美術館の出会い;「プリミティヴィズム」展をめぐる論争;近代美術館と民族学博物館)
第4章 民族誌展示の現在―「異文化」と「自文化」のはざまで(地球規模のモダニズム―美術館からの挑戦;地球規模のモダニズム―博物館からの挑戦;自らを問う―自省的展示の試み;対話の実践―共同作業の試み;自己の表象―「自文化」展示のための民族学博物館;民族誌展示の可能性)
終章 次代のミュージアムに向けて―ささやかな提言(フォーラムとしてのミュージアム)

著者等紹介

吉田憲司[ヨシダケンジ]
国立民族学博物館教授/総合研究大学院大学教授(併任)。文化人類学・博物館人類学専攻。1955年京都市生まれ。京都大学文学部卒業、大阪大学大学院博士課程修了。学術博士(1989年)。大阪大学文学部助手、国立民族学博物館助手を経て、1993年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

16
1999年初出。 1860年以降、欧米を皮切りに、 民族学博物館が創設(40頁~)。 62年ライデン、66年ピーボディ考古学・民族学、 69年NY・アメリカ自然史、73年ベルリン民族学、 78年パリ・トロカデロ民族誌博物館、83年ピット・リヴァーズ。 アメリカ人類学の父、フランツ・ボアズ(48頁~)。 ツンベルク『日本植物誌』(1784)をもとに、 伊藤圭介は『泰西本草名疏』(1829)を著した(79頁)。 坪井正五郎は日本人類学の祖(97頁)。  2014/04/12

dilettante_k

0
2014(1999)年刊。現国立民族博物館副館長である著者が、博物館、美術館という近代的装置における「異文化」展示の意義とあり方を問う。欧米、日本における博物館の成立史、民族学資料と現代美術の類縁性を強調したMoMAの「20世紀美術におけるプリミティヴズム」展をめぐる議論、自らも関与したその後の取り組みを辿り、異文化展示が孕む困難性を指摘。博物館を文化間の開かれた「フォーラム」に位置づけ、議論の交差点に変容することで課題の克服をめざす。自文化における中心と周縁の問題系にも思考を展開させる視覚文化論の好著。2014/08/19

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/7866970
  • ご注意事項

最近チェックした商品