内容説明
本書で試みられたのは、ミュージアムのたどってきた歴史を見つめ直し、そこにある問題点を明らかにすることで、次の時代のミュージアムのあり方を問い直すことだった。そのあり方には二つの選択肢がある。すでに価値の定まった「至宝」を人びとが拝みに来る神殿としての「テンプル」を目指すのか、あるいは人びとが集って未知なる物に出会い、そこから議論が始まっていく場所としての「フォーラム」を目指すのか。そしていまミュージアムは、ますますフォーラムとしての性格を色濃く帯びるようになってきている。
目次
第1章 「異文化」の発見―民族誌展示の系譜(初期(一六‐一七世紀)のコレクション―「珍品陳列室」あるいは「驚異の部屋」
博物学の成立、博物館の誕生―一八世紀
博物学が作り出した「野蛮人」像―一八世紀後半-一九世紀前半
民族学博物館の時代―一九世紀後半
二〇世紀の民族誌展示
「アール・ネーグル」の発見と二〇世紀)
第2章 近代日本における「自文化」と「異文化」の発見―「東博」と「民博」のコレクション(東博のたどった道;民博への道;近代史における東博と民博)
第3章 「異文化」と「自文化」の出会い―「二〇世紀美術におけるプリミティヴィズム」展を考える(博物館と美術館の出会い;「プリミティヴィズム」展をめぐる論争;近代美術館と民族学博物館)
第4章 民族誌展示の現在―「異文化」と「自文化」のはざまで(地球規模のモダニズム―美術館からの挑戦;地球規模のモダニズム―博物館からの挑戦;自らを問う―自省的展示の試み;対話の実践―共同作業の試み;自己の表象―「自文化」展示のための民族学博物館;民族誌展示の可能性)
終章 次代のミュージアムに向けて―ささやかな提言(フォーラムとしてのミュージアム)
著者等紹介
吉田憲司[ヨシダケンジ]
国立民族学博物館教授/総合研究大学院大学教授(併任)。文化人類学・博物館人類学専攻。1955年京都市生まれ。京都大学文学部卒業、大阪大学大学院博士課程修了。学術博士(1989年)。大阪大学文学部助手、国立民族学博物館助手を経て、1993年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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