内容説明
皇妃となった元春の里帰りのために、贅の限りを尽くして造営された「大観園」。やがてそこに移り住む少女たちは、それに先立ち、なぜか揃って悲惨な未来を暗示する謎々を作る―。いよいよ本領発揮、いよいよ本領発揮、林黛玉の繊細な魅力にも注目!
著者等紹介
井波陵一[イナミリョウイチ]
1953年生。京都大学大学院文学研究科修士課程修了。京都大学人文科学研究所教授。専攻は中国文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Christena
5
第2巻は17回〜31回まで。日々の暮らしの華やかな様子が描かれ、美しい情景が目に浮かびます。多くの詩が吟じられているので、漢詩の味わい方を知っていれば、さらに深く楽しめるのではないかと思いました。だんだんと登場人物のキャラクターが分かってきて、物語の中で生き生きと動き出して面白くなってきたところ。巻頭の人物説明が役に立ちました。賈珍の説明が酷いけど的確。「安逸を貪って遊蕩に身を任せるろくでなし」と。とても分かりやすいです。2017/03/18
しんすけ
2
贅の限りを尽くして造営される「大観園」、実家の将来を不安視する皇帝妃の賈元春(賈宝玉の実姉)、などの話があるものの取り立てて物語に変化は無い。大家族であるが故に、「嫁同士のいがみ合い」、「侍女たちの皮肉の応酬」があってそれなりに面白い。だが、これらが生きてくるのはもっと後半に行ってからの話だ。また、賈宝玉と林黛玉の仲も恋人と云うよりは、子供の啀み合いのような面ばかりがまだ目立っている。『紅楼夢』の読書法とは、「各場面の雰囲気を愉しんだ後、ある程度進んで思い返す」ということであるようだ。2015/10/20
Tonex
2
訳注や詩にすべて目を通し、系図や地図を随時参照し、意味が良くわからない箇所は中国古典文学大系や岩波文庫で確認していたが、こんな読み方ではラストにたどり着く前に力尽きるので、途中から手を抜くことにした。/大観園の想像図について。中国古典文学大系のものは斜め上空から眺めたイラストで、樹木や岩も描きこまれていて園内の雰囲気が伝わってくるが、こちらの本に掲載されている平面図の方が建物や道や池の配置が良くわかる。ネットで調べてみたら、北京と上海に大観園のテーマパークがあるそうで、写真や地図を見たら面白そうだった。2014/12/19
ゼルビーチャ
1
この本のおもしろみがまだわからず。3巻目以降に期待。2014/04/26
きりんの姉さん
0
第2巻、ますますハマる。冒頭、「大観園」にとにかく圧倒される。中国の美意識の粋であり、夢の世界なのだろう。ここを読むだけでも値打ちがある。印象的なのは、色とりどりの灯籠をかけたおばあさまの部屋で孫達が謎々遊びに興じる場面。盛り上がる孫達に機嫌良く目を細めるおばあさまと、謎々の答えが全部不吉なので密かに憂鬱になる賈政の対比。宝玉はお付きの娘達とは適当に遊んでいるようだが黛玉とは子どもじみたムズキュンな喧嘩を繰り広げ、周りを呆れさせる。巻末のトラブルで筆頭侍女の襲人のことも宝玉が大切に思っていることが分かる。2023/09/03